門茶
autumn 生活

門茶

かどちゃ

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意味・由来

「門茶(かどちゃ)」は、秋の季語です。江戸時代、京都の嵯峨をはじめとする各地の社寺の門前や街頭で、石臼を使って茶葉を挽き、道行く参拝客や旅人に提供した素朴な茶のことを指します。特に秋の彼岸の時期などに多く見られ、秋の風物詩として親しまれました。秋のひんやりとした空気の中、門前で石臼がゴトゴトと音を立てて回る様子や、漂い来るお茶の香ばしい香りは、旅人の心を慰め、独特の情緒を醸し出しました。

この季語で詠むコツ

「門茶」を詠む際は、単にお茶を飲む行為だけでなく、門茶ならではの「音」や「香り」、「情景」を立体的に描くのがコツです。茶を挽く単調な音は、秋の夕暮れの静けさや寂しさを引き立てる素晴らしい素材となります。また、旅の途中の「一服」の安らぎや、冷え込んできた秋風との対比を意識することで、季語が持つ温かみと哀愁がより深く伝わります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 音に関する言葉:挽く(ひく)、石臼(いしうす)、響く、音づれ
  • 光や景色:夕日(ゆうひ)、嵯峨(さが)、秋の暮(あきのくれ)、門前(もんぜん)
  • 体感:秋風(あきかぜ)、冷やか(ひややか)、旅衣(たびころも)

門茶」の俳句例 (3件)

門茶挽く音や夕日の嵯峨の町
与謝蕪村【現代語訳】門口で茶を挽く石臼の音が聞こえてくる。夕暮れ時の嵯峨の町には、寂しくも美しい秋の夕日が斜めに差し込んでいることだ。 【鑑賞】蕪村の代表的な秋の句です。「門茶を挽く音」という聴覚的な要素と、「夕日の嵯峨の町」という視覚的な要素が見事に調和しています。嵯峨の静寂と、秋の夕暮れが持つ切なさが、門茶の素朴な音によって一層引き立てられています。
門茶にもならぬ浮世のあらしかな
小林一茶【現代語訳】門口で手軽に楽しむ一杯の門茶を味わうことすらできない、この世知辛い世の中の嵐(厳しい現実)であることよ。 【鑑賞】ささやかな庶民の楽しみである「門茶」さえ、世間の騒がしさや生活の困窮によって阻まれてしまう無念さを、一茶らしく自嘲気味に詠んでいます。浮世の厳しさを「あらし」と表現し、それに対する小さな抵抗としての門茶の対比が印象的です。
門茶挽く嵯峨の夕日や秋の風
正岡子規【現代語訳】門茶を挽く音が響く嵯峨の地。沈みゆく夕日があたりを赤く染める中、涼しい秋の風が吹き抜けていく。 【鑑賞】先達である蕪村の句を意識しつつ、子規ならではの「写生」の目で捉え直した句です。門茶を挽く音、美しく寂しげな夕日、そして肌をなでる秋の風という三つの要素を並べることで、嵯峨の空気感を鮮やかに描き出しています。

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