夷則

夷則

いそく

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意味・由来

「夷則(いそく)」とは、陰暦七月(初秋)の異称です。古代中国の音楽理論である「十二律(じゅうにりつ)」の一つに由来します。一年十二か月に十二律の音階がそれぞれ割り当てられており、陰暦七月に配された音が「夷則」であったことから、転じて七月の雅称として用いられるようになりました。「夷」には平らげる・整える、「則」には法・基準という意味があり、草木の実りが整い、秋の秩序正しい気配が満ちていく初秋の情景を表しています。

この季語で詠むコツ

「夷則」は単なる暦の七月という枠を超え、古代の音律にまつわる雅やかで厳かな響きを持っています。日常的で砕けた題材よりも、初秋の澄み渡る大気、涼やかな風、静けさの中で際立つ音など、風雅で格調高い情景を取り合わせるのが効果的です。切れ字「や」などを活用して季語をしっかりと立たせ、凛とした秋の立ち上がりを演出しましょう。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 音や調べに関する言葉(風の音、水音、琴、鐘、調べ)
  • 初秋の自然・天象(月、雲、露、夜の秋、梢)
  • 静けさや清涼感を表す言葉(澄む、冴ゆ、夜半、静まる)

夷則」の俳句例 (3件)

夷則や雲のゆききの月のおも
高井几董【現代語訳】初秋の七月、空を行き交う雲の合間から、澄んだ月の姿が見え隠れしている。【鑑賞】「夷則」の持つ典雅な響きと、初秋の夜空の月景が見事に調和した一句です。雲の動きによって表情を変える月の清らかさが、秋の訪れの風情を際立たせています。
夷則吹く風や梢の露の玉
正岡子規【現代語訳】初秋の七月に吹く爽やかな風に揺れて、木々の梢に結んだ露が美しい玉のように輝いている。【鑑賞】音律に由来する季語「夷則」を風と結びつけ、視覚的な露のきらめきへと展開した清々しい句です。初秋の澄んだ空気感が見事に表現されています。
夷則や水音高き夜の秋
正岡子規【現代語訳】夷則の月を迎えて静まり返った秋の夜、流れる水音が一段と高く冴えて聞こえてくる。【鑑賞】「夷則」の持つ音楽的なイメージを、静寂の中で耳に届く水音の冴えへと繋げた作品です。秋の夜の涼気と深い静けさが美しく響き合っています。

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