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「星の入東風(ほしのいりごち)」とは、旧暦十月(現在の十一月頃)の明け方に、西の空へ「昴(すばる)」が没する頃に吹く東寄りの風のことです。ここでいう「星」は昴を指しています。俳句で「東風(こち)」といえば春の暖かな風を指すのが一般的ですが、この「星の入東風」は冬の季語です。古くから漁師や船人たちが海の荒れを警戒した風でもあり、澄み切った冬空を星が沈んでいく静けさと、身を刺すような冷たい突風の厳しさを併せ持つ、非常に情緒豊かな言葉です。
「東風」という響きの柔らかさに惑わされず、冬の明け方の張り詰めた冷気や、風の鋭さを意識して詠むことが肝心です。夜明け前の暗闇と薄明の境目、きらめく星空、波立つ水面など、視覚と触覚を研ぎ澄ませた描写を合わせると、季語の持つ清冽な緊張感がより鮮明に伝わります。大自然の運行に対する敬畏や、港町の風情を重ねるのも味わい深い作句法です。
未明、夜明け、暁、昴、黒潮、波頭、舟、港、舷(ふなばた)、冷気、静寂、凍つなど、明け方の時間帯や海辺の気配を感じさせる言葉と非常に相性が良いです。
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