鵯上戸

鵯上戸

ひよどりじょうご

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意味・由来

「鵯上戸(ひよどりじょうご)」は、ナス科のつる性多年草です。山野の藪や林の縁、あるいは人家の生け垣などに自生し、他の木や竹に絡みついて成長します。秋になると直径1センチ足らずの球形の実がつき、艶やかで美しい赤色に熟します。「鵯(ひよどり)がこの実を好んで食べ、まるで酒好き(上戸)が酒を飲むように群がって食べる」という俗説が名前の由来とされていますが、実際にはソラニンなどの有毒成分を含んでいるため、鵯をはじめとする鳥たちも好んでは食べず、冬枯れの枝に赤い実だけが残ることが多いのも興味深い特徴です。

この季語で詠むコツ

鵯上戸の大きな魅力は、晩秋の寂びた風景の中でひときわ目を引く「赤く透き通るような小さな実」と「しなやかに絡みつく蔓(つる)」の対比にあります。枯れ草や小柴垣、竹藪といった地味で素朴な背景を取り合わせることで、実の赤さや艶が鮮やかに引き立ちます。また、名前に反して鳥が寄りつかないという生態の持つ静けさや、少し毒気を秘めた妖しい美しさに焦点を当てるのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

・色彩・光:朱、茜、玉、陽だまり、夕日、照り ・背景・場所:藪、柴垣、竹林、山路、生垣、古垣 ・質感・状態:絡む、垂る、蔓、透く、残る、枯葉

鵯上戸」の俳句例 (3件)

鵯上戸実の赤ければ鳥も来ず
水原秋桜子【現代語訳】鵯上戸の実がこれほど赤々と熟しているのに、鳥さえも寄りついてこない。【鑑賞】「鵯が好んで食べる」という名の由来とは裏腹に、実際には毒があるため鳥に見向きもされない実の孤独と、冷ややかな美しさを鋭く切り取った一句です。晩秋の澄んだ空気と静けさが際立っています。
鵯上戸這ひのぼりたる垣根かな
高野素十【現代語訳】鵯上戸の蔓が、竹垣にするすると這い登っていることだなあ。【鑑賞】客観写生の達人である素十らしい、平淡ながら情景がくっきりと浮かぶ句です。手入れされた垣根に野性味のある蔓が絡みつき、秋の深まりとともに赤い実を吊り下げている素朴な日常の美を捉えています。
鵯上戸蔓のさきまで赤き実や
長谷川かな女【現代語訳】鵯上戸の細く伸びた蔓の、先端に至るまで見事に赤い実を結んでいることよ。【鑑賞】晩秋の光を浴びて、蔓の端々にまでみずみずしい実をたわわにつけた生命力を讃えています。女性らしい細やかな観察眼が光り、実の鮮やかな朱色が鮮明な残像となって心に残ります。

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