広瀬龍田の祭

広瀬龍田の祭

ひろせたつたのまつり

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意味・由来

「広瀬龍田の祭(ひろせたつたのまつり)」は、初秋の七月四日(旧暦)に大和国の広瀬大社(奈良県河合町)と龍田大社(奈良県三郷町)で行われた朝廷の重儀です。広瀬大社は水神(若宇加能売命)、龍田大社は風神(級長津彦命・級長戸辺命)を祀っており、古くは『延喜式』にも定められた格式高い祭礼でした。立秋を前に、嵐や洪水といった風水害を鎮め、秋の作物が無事に実るように(五穀豊穣)祈願したことに由来します。古代の人々の自然神への畏怖と切実な祈りが込められた、厳かで雅びな秋の季語です。

この季語で詠むコツ

「広瀬」「龍田」という大和の古社・古道が持つ歴史的な重みや、風神・水神という自然の強大な力に対する敬虔な思いを意識して詠むのがポイントです。単なるお祭りの賑やかさというよりは、これから台風の季節(野分)を迎える前の「静けさ」「気配」「祈り」に焦点を当てると詩情が深まります。神社の神聖な杜(もり)、吹き抜ける初秋の清涼な風、流れる川のせせらぎなどを五感で捉えて表現すると良いでしょう。

相性のいい言葉・取り合わせ

・自然・天候:初秋の風、青空、野分(のわき)の気配、川波、神立(かんだち) ・社殿・祭礼:幣帛(へいはく)、神垣(かみがき)、鈴の音、注連縄(しめなわ)、古社(こしゃ) ・歴史・情感:大和路、古代の祈り、平穏、稔り(みのり)

広瀬龍田の祭」の俳句例 (3件)

雨風の神や広瀬と龍田山
加納白雄【現代語訳】雨と風を司る神々が鎮座されている、広瀬の社と龍田の山よ。 【鑑賞】水害と風害を鎮める二大聖地を素直に並べ、自然の霊威に対する畏敬の念をまっすぐに詠み上げた一句です。余計な装飾を削ぎ落とし、古来続く祭祀の厳粛さを堂々と表しています。
風祭る広瀬龍田の神路かな
正岡子規【現代語訳】風の神を祀る祭礼が行われている、広瀬と龍田へと続く神聖な参道であることよ。 【鑑賞】秋の初風が吹き渡る大和路の参道を捉えた句。風神・水神を鎮める祭りの気配が、木立に囲まれた静謐な「神路」という言葉によって美しく際立っています。
風祭る龍田の宮の静けさよ
高浜虚子【現代語訳】風神を鎮める祭が行われている龍田の宮は、なんと静まり返っていることだろう。 【鑑賞】風害をもたらす猛威を鎮める祈りだからこそ、境内には緊張感を孕んだ深い静けさが漂っています。動的な「風」と静的な「宮の静けさ」の対比が鮮やかな名句です。

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