ひぐらし

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意味・由来

「蜩(ひぐらし)」は、セミ科の昆虫で、「カナカナカナ……」と澄んだ哀愁ある声で鳴くのが特徴です。その名は「日を暮らす(日暮れを知らせる)」ことに由来すると言われ、実際に夏の終わりから初秋にかけて、朝夕の薄暗い時間帯や曇天の涼しいときに盛んに鳴きます。その声の響きから、古来より一日が暮れていく寂しさや、秋の訪れ(季節の移ろい)を強く意識させる季語として親しまれてきました。現代では真夏にも聞かれますが、俳句では「初秋」の季語に分類されます。

この季語で詠むコツ

蜩を詠む際は、「カナカナ」という鳴き声をそのまま言葉にするのではなく、その澄んだ声が響き渡る「空間の静けさ」や「薄暗くなっていく時間帯の光」を捉えるのがコツです。山あいの影の濃さ、夕暮れのひんやりとした大気、遠くから聞こえる鐘の音や次々に灯る宿の明かりなど、視覚や触覚の描写と組み合わせることで、蜩特有の物悲しさや涼やかさが立ち現れます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・空間・風景:山里、杉木立、谷、寺、宿、古道、小川 ・時間・光:夕暮れ、薄暮、落日、黄昏、灯り、影 ・感覚:澄む、冷え、静けさ、寂けさ、風の音

」の俳句例 (3件)

ひぐらしの鳴くや我等も信濃人
小林一茶【現代語訳】ひぐらしが哀調を帯びた声で鳴いている。その寂しげな声を聞いていると、我々も山深いこの信濃の地に生きる人間なのだと、しみじみと感じ入る。 【鑑賞】信濃(長野県)の山あいの厳しくも素朴な風土と、哀切に響く蜩の声を重ね合わせた句です。自らの生い立ちや境遇への愛着と孤独感が素朴な調べの中に滲み出ています。
ひぐらしやつぎつぎに灯る山の宿
水原秋櫻子【現代語訳】ひぐらしの声が山あいに響き渡る中、夕闇が迫るにつれて山の宿に一つ、また一つと明かりが灯っていく。 【鑑賞】蜩の澄んだ鳴き声が広がる夕暮れの静寂と、山宿にポツポツと灯っていく温かな光の情景が鮮やかに対比されています。聴覚と視覚の調和が美しい近代俳句の傑作です。
ひぐらしや定家が庵を谷の外
正岡子規【現代語訳】ひぐらしがもの寂しく鳴いている。藤原定家がかつて暮らしたという小倉山荘の跡は、この谷の向こう側にあるのだろうか。 【鑑賞】京都・嵯峨野の小倉山のあたりを訪れた際の作。幽玄な風情を漂わせる蜩の鳴き声が、遠い平安・鎌倉の歌人である藤原定家への追憶と時空を超えて重なり合います。

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