頳桐の花

頳桐の花

ひぎりのはな

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意味・由来

「頳桐(ひぎり)」はシソ科クサギ属の落葉低木で、原産地はインドから東南アジアです。「頳」は「赤・朱色」を意味する漢字で、葉の形が桐に似ており、鮮やかな緋色の花を咲かせることからこの名が付きました。 晩夏から初秋にかけて、枝先に円錐状の花序を伸ばし、鮮烈な朱赤色の小花を無数に咲かせます。その姿はまるで燃え盛る炎のようで、南国的な野趣とエキゾチックな華やかさを感じさせます。暖地や庭園、寺院などで見られ、秋の訪れの中でひときわ強い印象を残す植物季語です。

この季語で詠むコツ

頳桐の最大の特徴は、その情熱的で鮮やかな「赤色」です。秋の澄んだ青空や日差し、あるいは冷涼感を帯び始めた風と対比させることで、花の持つ強烈な存在感が一層際立ちます。 また、名前に「桐」の字が含まれますが、草木が衰えゆく秋の寂寥感とは対照的に、生命力あふれる造形美を持っています。視覚的な赤のインパクトだけでなく、南国の風土、港町や寺町の情緒、初秋の空気の冷たさなど「温度感や場所の雰囲気」と響き合わせるのが効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

・色彩・光:朱、紅、碧空、白壁、波の照り返し、夕日 ・風土・場所:坂道、古刹、南蛮寺、石段、岬、潮風 ・情景・動態:燃ゆる、こぼる、風渡る、陰る、ひびく

頳桐の花」の俳句例 (3件)

頳桐の燃えてつめたき海へ坂
飴山實【現代語訳】頳桐の花が燃え盛るように咲き誇るその向こうに、冷たい気配をたたえた海へと下っていく坂道が続いている。【鑑賞】頳桐の放つ情熱的な朱赤の「熱」と、秋の訪れを告げる海の「冷たさ」という鮮烈な対比が効いています。色彩と体感温度の落差によって、深まりゆく秋の情感を巧みに捉えた名句です。
緋桐咲く南蛮寺のあとどころ
山口青邨【現代語訳】かつてキリシタン信仰の拠点であった南蛮寺の跡地に、今、緋桐の真っ赤な花が咲き乱れている。【鑑賞】南蛮渡来の異国情緒を残す史跡と、南方原産である緋桐のエキゾチックな朱色が見事に取り合わされています。失われた歴史への追憶と、今も鮮やかに咲く花の対比が静かな余韻を醸し出します。
頳桐や波のひかりを庭に受け
長谷川櫂【現代語訳】庭に頳桐の花が咲いている。その庭には、近くの海から打ち寄せる波の照り返しが届いている。【鑑賞】頳桐の鮮やかな赤に、海面のきらめく光が重なり合う情景を描いています。海辺の明るい光線と、初秋の澄んだ大気の清潔感が感じられる爽やかな一句です。

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