碧蟬花

碧蟬花

へきせんか

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意味・由来

「碧蟬花(へきせんか)」は、初秋の道端や野原に咲く「露草(ツユクサ)」の風雅な漢名(別名)です。鮮やかで深い青色の二枚の花弁が、まるで空を飛ぶ蝉(セミ)の羽のように見えることからこの名がつけられました。身近で素朴な野草である露草も、「碧蟬花」という漢語で呼ぶことで、どこか格調高く、詩情豊かで幻想的な響きを帯びるようになります。朝咲いて昼には萎んでしまう露草の儚さと、澄み切った秋の訪れを象徴する季語です。

この季語で詠むコツ

「碧蟬花」は字面と響きに独特の格調と透明感があるため、重厚になりすぎないよう、朝の澄んだ空気感や光、水滴の瑞々しさを捉えるのがポイントです。露草の命は朝の数時間と非常に短いため、「咲き初めの鮮やかさ」や「露を含んだ一瞬の美しさ」、あるいは「儚く萎れゆく寂寥感」に焦点を当てると詩情が際立ちます。日常の生活感のある風景にあえてこの雅語を配することで、見慣れた景色を一幅の絵画のように昇華させる効果も狙えます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・朝や水滴を表す言葉(朝露、水引、しづく、暁、今朝) ・色彩・光を捉える言葉(藍、瑠璃、淡し、日ざし、清ら) ・静寂や儚さを漂わせる言葉(土塀、古庭、微風、消え入る、うたかた)

碧蟬花」の俳句例 (3件)

碧蟬花朝の露あるうち見ばや
正岡子規【現代語訳】碧蟬花の花が咲いた。まだ美しい朝露を宿している、今のうちにしみじみと見ておきたいものだ。 【鑑賞】露草の青い花は昼にはしぼんでしまう短命な花です。朝露をたたえた朝のわずかなひとときにしか見られない、その鮮烈で清らかな青と露のきらめきを愛惜する、病床の子規ならではの純粋な眼差しが感じられます。
碧蟬花机によりて朝餉かな
正岡子規【現代語訳】庭に碧蟬花が咲く清々しい朝、いつもの机にもたれるようにして朝食をいただいている。 【鑑賞】庭先の碧蟬花の鮮やかな青が、簡素な朝餉の場に凛とした清涼感をもたらしています。「碧蟬花」という雅やかな名を用いることで、日常の朝食の一コマが格調高く静謐な絵画のような風情に仕上がっています。
碧蟬花土塀の崩れつくろはず
正岡子規【現代語訳】土塀が崩れたまま手入れもしていないその足元に、碧蟬花が鮮やかな青い花を咲かせている。 【鑑賞】古びて崩れかけた土塀という荒れた侘しい背景と、そこに咲く宝石のような碧蟬花の澄んだ瑠璃色との対比が鮮やかです。手つかずの自然が持つ素朴な逞しさと、初秋の寂寥感が調和した名句です。

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