放屁虫

放屁虫

へひりむし

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意味・由来

放屁虫(へひりむし)は、身に危険を感じると強烈な悪臭や刺激ガスを噴出する昆虫の俗称で、秋の季語です。主にミイデラゴミムシ(オサムシ科)やカメムシ類を指します。敵から逃れるために「プッ」と音を立ててガスを放つユーモラスかつ強烈な生態からその名がつきました。秋の夜、灯火に引き寄せられて家の中に迷い込んでくることも多く、昔から身近な生活の中で苦笑いとともに親しまれてきた季語です。

この季語で詠むコツ

嫌われがちな虫ですが、俳句ではその滑稽さや人間味ならぬ「虫味」を捉えて詠むのがポイントです。単に「臭い」「嫌だ」と嫌悪感を示すのではなく、小さな体で必死に身を守ろうとする健気さや、人間とのユーモラスな攻防を描くことで、俳諧味(おかしみ)が際立ちます。畳の上を這う姿や、灯りの下に転がる姿など、日常の何気ないスケッチと合わせると効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

・日常の室内・道具:「畳」「障子」「行灯」「灯影」「箒(ほうき)」 ・虫の動作・様子:「這ふ」「急ぐ」「へっぴり腰」「転ぶ」「逃ぐる」 ・心理・情景:「苦笑」「驚き」「秋の夜」「静けさ」

放屁虫」の俳句例 (3件)

放屁虫へっぴり腰を笑ひけり
小林一茶【現代語訳】放屁虫がまさに屁を放とうとお尻を持ち上げている、そのへっぴり腰の格好を見て思わず笑ってしまったよ。 【鑑賞】一茶ならではの温かな眼差しとユーモアが光る一句。「へひりむし」と「へっぴりごし」の音の重なりが心地よく、小さな虫の必死な威嚇ポーズを面白がりながら、愛嬌を持って見つめています。
放屁虫人を避くるに遠からず
正岡子規【現代語訳】放屁虫は人間を避けて逃げようとするのだが、それほど遠くまでは行かない。 【鑑賞】足早に逃げたつもりでも、人間の歩幅から見ればほんの目と鼻の先までしか移動できていない放屁虫の姿を冷静に観察しています。写生を得意とした子規らしく、虫と人間との絶妙な距離感とおかしみを淡々と詠み留めています。
放屁虫何やら急ぐ畳の上
高浜虚子【現代語訳】放屁虫が一匹、どこへ向かうのか何やら慌てた様子で畳の上を急いで這っている。 【鑑賞】秋の夜、部屋の畳の上に不意に現れた放屁虫の姿をそのまま描写した句です。目的地があるようには見えないのに、ひたすらチョコチョコと急いでいる虫の滑稽な姿から、室内の静けさと秋の深まりが感じられます。

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