八朔祭

八朔祭

はっさくまつり

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意味・由来

「八朔祭(はっさくまつり)」は、旧暦八月朔日(八月一日)に行われる祭礼のことで、初秋の季語です。八朔は「田の実(たのみ)の節句」とも呼ばれ、早稲の穂が実るこの時期に、神前に新穀を捧げて豊作を祈願・感謝した農村の信仰に由来します。また、「田の実」が「頼み」に通じることから、武家や公家、町人の間でも日頃お世話になっている人へ贈り物を届けて義理を交わす風習が生まれました。現代でも京都の松尾大社で行われる八朔祭や、熊本県山都町の巨大な「大造り物」で知られる八朔祭、京都祇園の花街で行われる芸舞妓の挨拶回りなど、各地に風情ある伝統行事として残っています。

この季語で詠むコツ

八朔はちょうど台風の襲来を警戒する二百十日前後にあたり、農家にとっては実りを前に風雨を鎮める「風祭り」の祈りの場でもありました。そのため、賑やかな祭りの活気や華やかさだけでなく、初秋特有の急な天候の移ろい、吹き抜ける秋風、どこか張り詰めた祈りの気配をすくい取ると深みが出ます。歴史ある神社仏閣の神事、山車や太鼓の響き、あるいは花街の涼やかな着物姿など、詠みたい情景の具体的なフォーカスを絞ることが成功の鍵です。

相性のいい言葉・取り合わせ

・神事・風情を捉える言葉:「注連(しめ)」「神前」「白足袋」「団扇(うちわ)」「笛太鼓」 ・初秋の自然・気候を表す言葉:「秋風」「野分(のわき)めく」「初空」「稲の穂」「夕立晴」 ・人々の息遣いを表す言葉:「挨拶」「揃い浴衣」「行き交ふ」「賑はひ」

八朔祭」の俳句例 (3件)

八朔や麻裏草鞋誰が履処
松尾芭蕉【現代語訳】八朔の祝いの日、玄関に置かれた上等な麻裏の草鞋は、いったい誰が履いてきたものだろうか。【鑑賞】元禄7年の作。武家や格式ある家で八朔の礼として贈答が行き交う日、来訪者の脱ぎ捨てた麻裏草鞋に着目し、その場の改まった空気と祝儀の賑わいをさりげなく切り取った風雅な一句です。
八朔や風雨のなかの甲斐が嶺
飯田蛇笏【現代語訳】八朔の今日、激しい風雨の吹き荒れる中に、甲斐の山々が厳かに聳え立っている。【鑑賞】八朔の厄日らしい初秋の荒天をダイナミックに詠んだ句。激しい風雨の中に浮き彫りになる故郷・甲斐の山嶺の威容が、蛇笏らしい重厚で引き締まった筆致で鮮やかに表現されています。
八朔や風の吹く日は吹くままに
小林一茶【現代語訳】八朔の節句を迎えたが、風の吹く日なら吹くに任せて、のんびりと過ごそうではないか。【鑑賞】八朔の時期は台風(野分)の襲来を恐れる頃でもあります。天候の不安や世間の儀礼の慌ただしさに惑わされず、自然の成り行きをそのまま受け入れて暮らす一茶ならではの飄逸な諦観がにじみ出ています。

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