花野道

花野道

はなのみち

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意味・由来

花野道(はなのみち)」とは、萩や薄(ススキ)、桔梗、女郎花など、秋の草花が一面に咲き乱れる野原(花野)の中を通る一本の小道のことです。秋の美しさと寂しさを象徴する「花野」から派生した季語であり、景色を外から眺めるだけでなく、花々の只中に分け入り、実際にそこを歩いてゆく「人の動き」や「旅情」が含まれる点に大きな特徴があります。草花をかすめて吹く秋風や、踏みしめる土の匂い、移り変わる光の移ろいなど、歩行に伴う五感の広がりを豊かに表現できます。

この季語で詠むコツ

花野道」を詠む際は、「歩き進める視線の動き」や「道の先に見えてくるもの」に焦点を当てると成功しやすくなります。どこまでも続く道の長さを詠むか、あるいは行き着いた先にある水辺や夕日、山寺などの景物を取り合わせることで、道というモチーフの持つ遠近感が生きてきます。また、色とりどりの花の美しさと背中合わせにある秋の夕暮れの早さや、ふとした孤独感、歩みを急ぐ心境などを重ねると、叙情味あふれる深い作品になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 動詞・動作:「辿る」「急ぐ」「尽きる」「行き逢ふ」「踏み分く」
  • 時間・光:「夕日(落暉)」「日暮れ」「黄昏」「朝露」「斜陽」
  • 風景・情景:「水辺」「遠山」「古寺」「石仏」「旅鞄」

花野道」の俳句例 (3件)

花野道行ききはまりて水に出づ
阿部みどり女【現代語訳】秋の花々が咲き乱れる野道をとことん歩いて行ったところ、ふっと道が尽きて美しい水辺に出た。 【鑑賞】草花に囲まれた細い道を歩き抜けた瞬間、ぱっと視界が開けて水面が現れた開放感が見事に描かれています。色彩豊かな秋の野から静かな水景への視界の切り替わりが美しく、澄んだ秋の空気と心地よい旅情が伝わってくる名句です。
花野道行けば行き当る落暉かな
臼田亜浪【現代語訳】花野の中の小道を進んでいくと、ちょうど道の正面に沈みゆく大きな夕日と行き当たったことだ。 【鑑賞】「落暉(らっき)」は沈む夕日のこと。草花が優しくそよぐ花野道を歩んでいた作者の前に、突然現れた巨大な夕日の光芒が鮮烈に捉えられています。花々の繊細な美しさと、広大な天に沈む夕日の雄大さが鮮やかな対比をなし、秋の夕暮れの厳かな美しさを描き出しています。
花野道つきぬ日ぐれを急ぐなり
水原秋櫻子【現代語訳】どこまでも続く花野道は果てることがない。つるべ落としに暮れてゆく秋の日差しの中、家路を急いでいる。 【鑑賞】美しい秋の草花に彩られた道でありながら、日が暮れかけているという焦燥感が歩みを速めさせます。華やかさの中にふと忍び寄る秋の寂寥感や心細さが、「急ぐなり」という率直な言葉によって生き生きと浮き彫りにされている名句です。

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