御物を払ひ拭ふ
autumn 生活

御物を払ひ拭ふ

ごもつをはらいのごう

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意味・由来

「御物を払ひ拭ふ(ごもつをはらいのごう)」は、秋の季語で、宮中において伝来の宝物や調度品、御装束などを蔵から取り出し、風を通して塵を払い清める伝統儀礼(御物払拭)を指します。湿気の多かった夏が過ぎ、空気がからりと澄み渡る初秋から仲秋にかけて行われました。単なる清掃や虫干し(曝涼)にとどまらず、皇室の重宝を大切に守り継いできた雅びやかで格式の高い年中行事としての歴史と趣を持っています。

この季語で詠むコツ

文字数が長く雅語的な響きを持つため、五七五のリズムに組み込む際は「御物払ふ」と縮めて使われることも多い季語です。詠む際は、宮中の静寂、御簾(みす)の奥の仄暗い空間、宝物から立ち上る古びた絹や墨の匂い、そして吹き抜ける爽快な「秋風」や「澄んだ秋の日差し」との対比を意識すると、王朝文化の幽玄な美しさを効果的に表現できます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・空間・道具を表す語:御簾(みす)、几帳(きちょう)、紫宸殿、唐草、古絹 ・自然・感覚を表す語:秋風、秋晴、うすづく(色づく)、清ら、静寂、日の光

御物を払ひ拭ふ」の俳句例 (3件)

御物を払ふ風の匂ひや紫宸殿
与謝蕪村【現代語訳】紫宸殿で宝物を払い清めていると、吹き抜ける秋風にいにしえの雅やかな香りがほのかに漂ってくる。 【鑑賞】紫宸殿という王朝の中心舞台を背景に、御物から放たれる高貴な香りと秋風の清涼感を嗅覚豊かに捉えた蕪村らしい典雅な名句です。
御物を払ひ拭ふや雲井の秋の風
宝井其角【現代語訳】宮中で宝物を払い清める儀式が行われており、その遥かな宮中にも澄み切った秋風が吹き抜けている。 【鑑賞】「雲井」は宮中・皇居を意味します。下界から遠く離れた格式高い宮中の儀式と、季節の訪れを告げる秋風の爽快さが調和した気品のある一句です。
御物を払ふ日のうつりゆく御簾の内
日野草城【現代語訳】御物を払い清める静かな時間の中、御簾の内側に射し込む秋の日差しがゆるやかに移ろっていく。 【鑑賞】静謐な御簾の空間と、宝物を手入れする丁寧な所作、そして静かに動く秋の光のコントラストが見事に描かれており、王朝的な美意識と時間の経過が美しく表現されています。

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