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蜚蠊(ごきぶり)は、夏の夜の台所や物陰などに現れる身近な害虫で、三夏の季語です。古くは器や食器をかじる虫として「御器かぶり(ごきかぶり)」と呼ばれており、それが転じて「ごきぶり」と呼ばれるようになりました。蒸し暑い日本の夏、夜更けの静けさの中で黒光りしながら素早く這い回る姿は、夏の生活の生々しい実感を象徴する存在として俳句に詠まれてきました。
嫌われ者として敬遠されがちな虫ですが、俳句ではその生命力や、遭遇した際の人間の動揺、滑稽味をありのままに捉えるのが面白さにつながります。単に「気持ちが悪い」と詠むのではなく、深夜の静寂を破るカサカサというわずかな物音、突然点けた明かりの下で凍りつく姿、丸めた新聞紙を手に対峙する緊張感など、具体的な生活の一コマを切り取ると共感を呼ぶ生き生きとした句になります。
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