玄鳥帰る
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玄鳥帰る

げんちょうかえる

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意味・由来

「玄鳥帰る(げんちょうかえる)」とは、春に日本へ渡ってきたツバメ(玄鳥)が、秋の訪れとともに南の国へ飛び去っていく様子を表す仲秋の季語です。「玄鳥」の「玄」は黒を意味し、ツバメの古称・漢名です。七十二候の「玄鳥去(つばめさる/秋分初候)」に由来し、俳句では「燕帰る(つばめかえる)」「去る燕」「秋燕」などとも詠まれます。春の「玄鳥至(つばめきたる)」と対をなす季語であり、子育てを終えたツバメたちが群れを作り、やがて姿を消していく光景は、深まりゆく秋の寂寥感や季節の移ろいを強く印象づけます。

この季語で詠むコツ

「玄鳥帰る」という漢語由来の表現を使うことで、通常の「燕帰る」よりもやや格調高く、古風で静謐な詩情を醸し出すことができます。詠む際は、飛び立つツバメそのものの羽音やスピード感を描くのも良いですし、ツバメが去った後の「空虚な巣」「急に広くなった青空」「冷たくなってきた風や水」といった周囲の余白・不在感を捉えるのも効果的です。旅立ちのダイナミズムと、見送る側の名残惜しさや切なさを意識して詠んでみましょう。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 空・気象: 秋晴、夕茜、薄暮、潮風、冷やか、初潮
  • 場所・風景: 電線、軒端、干潟、岬、湖、古巣、停車場
  • 感情・情景: 見送る、影一つ、群れなして、旅路、しじま

玄鳥帰る」の俳句例 (3件)

燕帰る波の上ゆく月夜かな
与謝蕪村【現代語訳】南の国へと帰っていく燕が、月光に照らされた波の上を飛び去っていく月夜であることよ。 【鑑賞】月明かりに照らされた大海原と、海を渡って南へ帰る燕の旅立ちを美しく幻想的に描いた名句です。夜の海の静けさとツバメの過酷な旅の対比が、澄んだ秋の風情を際立たせています。
燕帰る日や湖の紺深し
飯田蛇笏【現代語訳】燕が南へ帰っていくこの秋の日、湖の水は澄み渡り一段と深い紺色をたたえている。 【鑑賞】去りゆくツバメを見送る空の下、山湖の水の青さが深まりを見せる様子を鮮やかに捉えています。「紺深し」という色彩表現により、秋の冷気と季節が確実に進んでいることが実感される堂々とした作品です。
水暮れて玄鳥帰る頃ならむ
大野林火【現代語訳】水辺の日が暮れていく。季節はちょうど玄鳥(ツバメ)が南の国へ去っていく頃合なのだろうか。 【鑑賞】暮れなずむ水辺の寂しい景色を眺めながら、姿は見えずともツバメたちが旅立つ季節の移ろいに想いを馳せています。「玄鳥帰る」という厳かな響きが、夕暮れのしじまと秋の哀愁を深めています。

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