舟灯籠

舟灯籠

ふなとうろう・ふなどうろう

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意味・由来

「舟灯籠(ふなとうろう・ふなどうろう)」は、お盆の送り火の行事(精霊流し・灯籠流し)の際に、小舟の形に作られた灯籠に火を灯し、川や海へ流すものを指す初秋の季語です。祖霊や無縁仏の魂を彼岸へと送り届ける精霊舟の役目を持ち、暗い夜の水面に揺らめく灯火が幻想的でありながら、深い哀愁と別れの情を漂わせます。水と火という対照的な要素が溶け合う日本の美しい伝統風景の一つです。

この季語で詠むコツ

水面の動きや夜の暗闇と、揺らめく小さな炎の明滅を対比させることがポイントです。舟灯籠が流れていく速さ、瀬を越えるときの激しさ、あるいは沖合へ遠ざかり闇に吸い込まれていく静けさなど、動きを的確に描写すると情緒が深まります。また、単に情景を述べるだけでなく、見送る側の惜別の想いや追悼の祈りを重ね合わせることで、詩情豊かな一句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・水や波に関する言葉(さざ波、瀬音、川風、潮、水脈) ・光と闇に関する言葉(夜の闇、ほのめく、残り火、ともしび、影) ・心情や動作(見送る、まかせる、離れゆく、遠ざかる、合掌)

舟灯籠」の俳句例 (3件)

舟燈籠波にまかするほかはなし
久保田万太郎【現代語訳】流された舟灯籠は、波のまにまに漂っていくよりほかはない。【鑑賞】水流と波に身を委ねて離れていく舟灯籠に、人の力では抗えない運命や無常観を重ね合わせた句です。淡々とした語口の中に、哀切と諦念がにじみ出ており、作者ならではの情調が色濃く漂います。
舟灯籠流れて闇をひろげけり
岸田稚魚【現代語訳】舟灯籠が遠くへと流れていくにつれて、あたり一面の夜の闇がいっそう広がっていくように思われる。【鑑賞】ぽつんと小さくなっていく灯籠の明かりによって、かえって川面の深々とした闇が強調される視覚的対比が見事な一句です。送り火が去ったあとに残る寂寥感が見事に捉えられています。
舟燈籠瀬を落ちて火の乱れけり
角川源義【現代語訳】舟灯籠が川の早瀬に差しかかり、段差を落ちていくとき、その灯火が激しく乱れ揺れた。【鑑賞】静かに漂っていた灯火が、急流に揉まれて一瞬あやうく揺らめく劇的な瞬間を捉えています。水煙と激しい炎の揺れに、生と死の境目のような切迫感と生々しい迫力が感じられます。

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