福王子祭

福王子祭

ふくおうじまつり

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意味・由来

「福王子祭(ふくおうじまつり)」は、京都市右京区宇多野に鎮座する福王子神社の秋の例祭を指す季語です。福王子神社は、仁和寺の開祖である宇多天皇の母神・班子女王(はんしじょおう)を主祭神として祀っており、皇母神社とも呼ばれます。例年10月中旬に行われる祭礼では、宇多野や仁和寺周辺の静閑な山里に神輿が巡行し、秋深まる洛北の風景に華やぎと厳かな風情をもたらします。古くから俳諧でも秋の深まりや祭りの後の寂寥感とともに親しまれてきました。

この季語で詠むコツ

洛北ののどかで歴史ある風土が背景にある季語です。都会の大規模な祭りとは異なり、宇多野の里山や古寺の門前といった落ち着いた情景を意識すると句に奥行きが出ます。祭りの最中の太鼓の音や神輿の熱気だけでなく、「祭の前」「祭の後」の静けさ、秋冷の訪れ、暮れゆく秋の気配と対比させて詠むのが効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

・地理・自然:洛北、宇多野、仁和寺、里道、柴垣、野分、秋風 ・植物:菊、葛の花、萩、薄(すすき)、色鳥 ・生活・情趣:太鼓、小夜砧、日暮れ、門前、静けさ

福王子祭」の俳句例 (3件)

福王子の祭すぎけり菊の宿
炭太祇【現代語訳】福王子神社の祭礼も過ぎ去り、静けさを取り戻した宿の庭には、折りよく菊の花が咲き誇っている。【鑑賞】祭りの喧騒が去ったあとの落ち着きと、深まる秋の気配を見事に捉えた句です。「祭すぎけり」という寂寥感と、凛として気品ある「菊の宿」の佇まいが美しく響き合っています。
福王子祭過ぎけり小夜砧
正岡子規【現代語訳】福王子神社の秋祭りが過ぎ去ると、夜の静寂の中に遠く衣を打つ砧の音が響いている。【鑑賞】賑やかな祭礼が終わったあとの宇多野の里の静けさを、夜の風物詩である「小夜砧(さよぎぬた)」の音で表現しています。秋の深まりと洛北の夜の澄み渡る寒気を感じさせる一句です。
福王子や祭のあとの葛の花
蝶夢【現代語訳】福王子神社のあたりを訪れると、祭りが終わったあとの野辺に、葛の花が静かに咲き残っている。【鑑賞】洛北の山里らしい素朴な秋の景を詠んでいます。華やかな祭りの名残と、道端にひっそりと揺れる秋草・葛の花の取り合わせが、哀愁と旅情を誘います。

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