竹田忌

竹田忌

ちくでんき

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意味・由来

「竹田忌(ちくでんき)」とは、江戸時代後期の代表的な文人画家(南画家)である田能村竹田(たのむらちくでん、1777〜1835)の忌日です。旧暦の8月29日に亡くなったことから、仲秋の季語として親しまれています。 竹田は豊後国(現在の大分県竹田市)に生まれ、頼山陽ら多くの文人と深く交わりながら、繊細優美で詩情あふれる山水画や花鳥画を数多く遺しました。俗世の栄達を離れ、風流・清雅を愛した孤高の画人であったため、その命日には竹田の画風を偲び、文人趣味や秋の静けさを重ねて詠まれるのが特徴です。

この季語で詠むコツ

竹田の残した作品世界のように、清澄でどこか寂寥感を帯びた秋の空気感を詠み込むのが基本です。ただ画人の死を悼むだけでなく、墨の香りや書画の静けさ、秋の山水の風情を五感を通じて描写すると格調高い句になります。また、竹田の故郷である豊後の自然や、彼の愛した筆硯・文房具に思いを馳せるアプローチも効果的です。華やかさよりも、枯淡で品格のある表現を意識すると季語の持ち味がぐっと引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・文房具・画材に関する言葉(墨、硯、筆、画帖、落款、軸など) ・色彩や明暗に関する言葉(淡墨、青墨、白妙、夕山など) ・秋の風情を表す言葉(秋風、秋雨、夕暮、渓流、山気など)

竹田忌」の俳句例 (3件)

竹田忌や画中一客秋をゆく
河野静雲【現代語訳】竹田忌の今日、掛け軸の山水画を眺めると、描かれた一人の旅人が秋の山道を静かに歩んでいくのが見えてくる。 【鑑賞】竹田の描いた南画の世界に深く没入している一句です。画中に小さく描かれた旅人(一客)の姿に、秋を旅した竹田自身の面影を重ね合わせ、絵画と現実の秋景色が溶け合うような静謐な詩情を醸し出しています。
竹田忌や竹田の町は秋の風
吉屋信子【現代語訳】竹田忌を迎えた今日、画人の故郷である豊後竹田の城下町には、澄んだ秋の風が吹き渡っている。 【鑑賞】画号の「竹田(ちくでん)」と地名の「竹田(たけた)」の重なりを軽やかに生かした句です。歴史ある城下町に吹き抜ける爽涼な秋風を感じることで、かつてこの地で育まれた竹田の清雅な人柄や芸術が、今も町に息づいていることを鮮やかに伝えています。
竹田忌や雨のちからに杉青し
水原秋櫻子【現代語訳】竹田忌の今日、しとしとと降る秋雨の勢いによって、杉の木々の青さがひときわ鮮やかに際立っている。 【鑑賞】秋雨に濡れて瑞々しさを増す杉の深い青緑と、南画の淡雅な世界観を取り合わせた格調高い句です。「雨のちから」という力強い措辞が、静かな画人の忌日に生命感と鮮明な色彩をもたらしています。

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