朝鳥渡る

朝鳥渡る

あさどりわたる

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意味・由来

「朝鳥渡る(あさどりわたる)」は、秋の朝、澄み渡った冷涼な空を渡り鳥の群れが南へと旅立っていく情景を指す季語です。秋の代表的な季語である「鳥渡る」のなかでも、特に早朝の清々しい光や冷気に焦点を当てた情緒豊かな表現です。夜明けの茜色から青空へと移り変わる時間帯、光を浴びながら一直線に、あるいは隊列を組んで飛んでいく鳥たちの姿には、季節の推移と生命の躍動、そして旅立ちの哀感が凝縮されています。

この季語で詠むコツ

朝特有の「澄んだ空気感」「冷え込み」「朝光の輝き」を鳥の飛翔と連動させて描写するのがコツです。ただ鳥が飛んでいる様子だけでなく、鳥を見上げる自分の立ち位置(畑仕事の朝、通勤途中、窓辺など)や、地上の静けさと空の動きとの対比を意識すると奥行きが生まれます。視覚的な光の描写や、羽音・かすかな鳴き声などの聴覚的要素を取り入れると、朝の清冽さが一層際立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・光や空の表現(「朝明(あさけ)」「茜さす」「青天」「白光」など) ・地上の朝の風景(「朝露」「霜気」「朝餉(あさげ)」「野良仕事」など) ・動作や心情(「仰ぐ」「見送る」「旅心」「息白し」など)

朝鳥渡る」の俳句例 (3件)

鳥渡るや雲の中より雲の中
飯田蛇笏【現代語訳】渡り鳥が、一つの雲の中から現れては、また次の雲の中へと吸い込まれるように飛んでいくよ。 【鑑賞】秋の広大な空を渡っていく鳥の雄大な姿を捉えた名句です。朝夕の刻々と変わる雲の切れ間を縫って旅を続ける鳥たちのひたむきな生命感と、秋の空の圧倒的なスケール感が響き合っています。
鳥渡る雲なき空を傷つけて
西東三鬼【現代語訳】一点の曇りもない秋の青空を、渡り鳥の鋭い飛翔がまるで傷をつけるかのように横切っていく。 【鑑賞】澄み切った秋の空に一直線に切り込んでいく渡り鳥の姿を「空を傷つけて」と斬新な感覚で捉えた一句です。朝の冷徹な空気と、張り詰めた緊張感、渡り鳥の激しい生の意志が見事に表現されています。
駒ケ嶽頸頸として鳥渡る
前田普羅【現代語訳】甲斐駒ヶ岳が首を並べるように険しく連なるその上を、渡り鳥たちが懸命に越えていく。 【鑑賞】山岳俳句の巨匠による句です。朝の光の中にそびえ立つ険しい山々と、それを越えて南へと渡る鳥たちの対比が力強く描かれており、大自然の厳しさと旅立ちの厳粛さを感じさせます。

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