青北風

青北風

あおぎた

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意味・由来

「青北風(あおぎた)」とは、初秋から仲秋にかけて、澄み渡った青空のもとで吹き渡る北寄りの風を指す季語です。もともとは瀬戸内海や西日本の漁師たちが使っていた風位呼称(海の言葉)に由来し、俳諧の世界に取り入れられて定着しました。冬の厳しく吹き荒れる「北風(きた)」や「木枯らし」とは異なり、どこか爽やかで透明感があり、夏の名残を吹き払って本格的な秋の訪れを告げる、清冽で力強い風情を持っています。

この季語で詠むコツ

青北風の最大の魅力は「色彩感」と「空気の清涼感」にあります。「青」という言葉が示すように、晴れ渡った高くて青い空や、風を受けて青く輝く海原の情景と非常に相性が良いです。また、夏のぬるい風から秋の引き締まった冷気へと移り変わる「肌触り」や、草木・洗濯物・船の帆などが勢いよくはためく「動的な描写」を取り入れると、秋風の爽快さと力強さを生き生きと表現できます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・視覚・色彩:青空、碧海、白波、帆、岬、雲の峰、島の影 ・体感・聴覚:肌寒、潮鳴り、風鳴り、乾く、はためく ・生活・人事:出船、港、干し網、旅衣、灯台

青北風」の俳句例 (3件)

青北風に吹きまくられし雲ばかり
富安風生【現代語訳】澄みきった青空を渡る強い秋の北風に、ちぎれ雲ばかりが激しく吹き散らされていることだ。【鑑賞】どこまでも高く澄んだ秋空を、青北風が勢いよく吹き抜けていく光景を描いています。「雲ばかり」という大胆な把握によって、空の広大さと風の勢いが強調され、秋晴れの日のダイナミックな気象が鮮やかに目に浮かびます。
青北風や潮を吹きあぐる巌頭に
能村登四郎【現代語訳】激しく青北風が吹きつける中、荒磯の岩先では激しい波しぶきが空高く吹き上げられている。【鑑賞】岩頭(岩の突端)に砕け散る白波と、吹き荒れる青北風のエネルギーを力強く描写しています。秋の澄明な青空のもとで立ち昇る水煙の白さが目に鮮やかで、自然の厳しさと秋風の爽烈さが見事に重なり合っています。
青北風や海に放ちし鳩の影
角川源義【現代語訳】青々と澄んだ海原に吹く秋の北風よ。その大空へと放たれた鳩の影が、海面に鮮やかに映し出されている。【鑑賞】海由来の季語である「青北風」の情景を美しく捉えた一句です。強い秋風の中を力強く羽ばたく白い鳩と、紺碧の海に落ちるその影のコントラストが実に鮮烈で、気品と透明感に満ちた世界を創り出しています。

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