秋の蛍

秋の蛍

あきのほたる

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意味・由来

「秋の蛍」は、初夏の盛りの時期を過ぎて秋になっても生き残っている蛍のことです。別名「残る蛍」「名残の蛍」「秋蛍(あきほたる)」とも呼ばれます。夏の蛍が放つ群れをなすような華やかで力強い光とは対照的に、秋の蛍は数も少なく、かすかで弱々しい光を放ちながら水辺や草むらを漂います。その衰えゆく光や孤独な姿に、深まりゆく秋の寂寥感や命の儚さ、無常観を重ね合わせて愛でる季語です。

この季語で詠むコツ

夏の蛍との対比を意識し、「孤独」「静寂」「冷気」「儚さ」を際立たせるのがポイントです。元気に飛び交う様子ではなく、草の葉にしがみついて光っていたり、力なくひとすじの光を引いて流れていったりするような、繊細な動きや弱々しい光を丁寧に捉えましょう。また、冷ややかに澄んだ秋の夜気や、川のせせらぎ、虫の声といった聴覚・触覚の情景と重ねることで、情緒豊かな一句に仕上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 自然・天象: 露、川風、夜水、星合、銀河、冷やか
  • 植物・場所: 枯草、薄(すすき)、水際、古庭、軒端
  • 心情・状態: ひとすじ、かすか、残りたる、頼りなき、消え入る

秋の蛍」の俳句例 (3件)

稲づまや顔のところが秋の螢
松尾芭蕉【現代語訳】ぴかりと稲妻が光ったその瞬間、目の前の人の顔があったあたりを、かすかに秋の蛍が飛んでいるのが見えた。 【鑑賞】鋭く夜空を切り裂く稲妻の一瞬の強烈な閃光と、その後に残る秋の蛍の弱々しくかすかな光芒が見事なコントラストを描いています。光の明暗の対比を通じて、秋の夜の神秘的で静かな情感を鮮やかに切り取った名句です。
秋の蛍水くだり行く夜舟かな
与謝蕪村【現代語訳】秋の蛍がかすかに光りながら飛んでいるなか、夜の川の水をすべるように舟が下っていくことだ。 【鑑賞】秋の夜の冷たい川面を静かに下る小舟と、その暗がりの中を儚げに漂う蛍の光が、まるで一幅の水墨画のように描かれています。蕪村らしい絵画的な構成美と、秋ならではの静寂と寂寥感が漂う情緒あふれる一句です。
手の平を這ひまはりけり秋の螢
小林一茶【現代語訳】もう飛ぶ力も残っていないのだろうか、手のひらの上をとぼとぼと秋の蛍が這い回っているよ。 【鑑賞】もはや夜空へ飛び立つ体力もなく、差し出された手のひらをただ這うことしかできない蛍の姿を描いています。小さな命の終焉を見つめる一茶の温かくも切ない眼差しが感じられ、秋の蛍の哀れさと命の儚さが強く胸に迫ります。

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