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季語 (20)

summer

ほたる

蛍(ほたる)は、夏の夜の水辺を淡い光を放ちながら飛ぶ昆虫で、仲夏(6月頃)の季語です。分類は「動物」にあたります。日本では古くから蛍の光は儚さや恋心の象徴とされ、和歌や俳句に数多く詠まれてきました。代表的な種はゲンジボタルとヘイケボタルで、清流の近くに生息します。水辺を漂う幽玄な光は、日本の夏の原風景として愛されています。傍題として「蛍火(ほたるび)」「初蛍(はつぼたる)」などがあります。

短夜

summer

みじかよ・たんや

短夜(みじかよ・たんや)は、夏の夜が短く、すぐに夜が明けてしまうことを惜しむ三夏の季語です。分類は「時候」にあたります。暑さで寝苦しかったり、蛍狩りや涼みなどで夜更かしをしたりして、あっという間に朝を迎えてしまう感覚を表します。過ぎゆく短い夜への名残惜しさや、夏の夜特有の儚い情緒を感じさせる、日本ならではの繊細な季語です。

蛍狩

summer

ほたるがり

意味・由来\n「蛍狩(ほたるがり)」は、夏の夜に川辺や草むらなどの水辺へ出かけ、飛び交う蛍を観賞したり、捕らえたりして楽しむ風流な遊びを指す季語です。日本では古くから愛されてきた夏の風物詩であり、平安時代の『源氏物語』にも蛍を放つ描写があるなど、貴族の優雅な遊びから始まり、江戸時代には庶民の娯楽として広く親しまれるようになりました。「狩る」と言っても、実際に命を奪うのではなく、手や団扇でそっと捕らえて虫籠に入れたり、そのはかない光を目で追いかけたりして、夏の涼を味わう行事です。\n\n### この季語で詠むコツ\n蛍狩を詠む際には、単に「蛍が光っている」という視覚的な美しさだけでなく、それを囲む「闇の深さ」や「人々の気配」を意識することがポイントです。暗闇の中に浮かび上がるほのかな光の軌跡、川のせせらぎや夜風の冷たさといった五感に響くディテールを盛り込むと、臨場感が生まれます。また、大人たちが子供に帰ったように夢中になる姿や、恋人同士の静かな語らいなど、蛍狩りに同行する人々の人間模様や、手元に残るかすかな温もりや感触に着目するのも面白いでしょう。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n・背景の闇や水辺を表す言葉:「闇路(やみじ)」「川音(かわおと)」「草の葉」「水辺」\n・人の動作や持ち物を表す言葉:「団扇(うちわ)」「虫籠(むしかご)」「呼び声」「袖(そで)」\n・光の動きを表す言葉:「点る(ともる)」「揺れる」「消え入る」「影」

秋の蛍

autumn

あきのほたる

意味・由来 「秋の蛍」は、初夏の盛りの時期を過ぎて秋になっても生き残っている蛍のことです。別名「残る蛍」「名残の蛍」「秋蛍(あきほたる)」とも呼ばれます。夏の蛍が放つ群れをなすような華やかで力強い光とは対照的に、秋の蛍は数も少なく、かすかで弱々しい光を放ちながら水辺や草むらを漂います。その衰えゆく光や孤独な姿に、深まりゆく秋の寂寥感や命の儚さ、無常観を重ね合わせて愛でる季語です。 この季語で詠むコツ 夏の蛍との対比を意識し、「孤独」「静寂」「冷気」「儚さ」を際立たせるのがポイントです。元気に飛び交う様子ではなく、草の葉にしがみついて光っていたり、力なくひとすじの光を引いて流れていったりするような、繊細な動きや弱々しい光を丁寧に捉えましょう。また、冷ややかに澄んだ秋の夜気や、川のせせらぎ、虫の声といった聴覚・触覚の情景と重ねることで、情緒豊かな一句に仕上がります。 相性のいい言葉・取り合わせ 自然・天象: 露、川風、夜水、星合、銀河、冷やか 植物・場所: 枯草、薄(すすき)、水際、古庭、軒端 心情・状態: ひとすじ、かすか、残りたる、頼りなき、消え入る

秋蛍

autumn

あきほたる

意味・由来 「秋蛍(あきほたる)」は、夏の盛りを過ぎてもなお生き残り、秋の気配が深まる草むらや水辺で弱々しく光を明滅させている蛍のことです。「残る蛍」「冷え蛍」「秋の蛍」などとも呼ばれます。 夏に群れをなして華やかに乱舞した姿とは対照的に、秋の寒さの中でひとり漂うように飛ぶ姿や、草葉にしがみついて頼りなく光る姿は、見る者に命の儚さや哀愁、季節の移ろいを感じさせます。古来より、もののあわれを象徴する趣深い秋の季語として愛されてきました。 この季語で詠むコツ 秋蛍を詠む際は、夏の蛍のような「生命の輝き」や「賑やかさ」ではなく、「静寂」「孤独」「冷気」といった秋ならではの情緒を引き立てるのがポイントです。 光の弱さや消え入るような明滅の間隔、力なく飛ぶ軌跡に着目してみましょう。また、肌を撫でる冷たい夜風や、草に宿る露など、秋の肌寒さを感じさせる情景と取り合わせることで、秋蛍の持つ切なさがより一層際立ちます。 相性のいい言葉・取り合わせ 自然・気象:夜露、草むら、川風、冷やか、秋風、闇、水輪 状態・動作:消え入る、弱々し、すがる、這う、ともす、ただひとつ 心情・時間:ひとり、寂けさ、遅し、名残、更くる夜

蛍草

autumn

ほたるぐさ

病蛍

autumn

やみほたる

雪蛍

winter

ゆきぼたる

昼の蛍

summer

ひるのほたる

蛍烏賊

spring

ほたるいか

朝の蛍

summer

あさのほたる

雨の蛍

summer

あめのほたる

石山蛍

summer

いしやまぼたる

宇治蛍

summer

うじぼたる

大蛍

summer

おおぼたる

草蛍

summer

くさぼたる

源氏蛍

summer

げんじぼたる

散る蛍

summer

ちるほたる

飛ぶ蛍

summer

とぶほたる

初蛍

summer

はつほたる

俳句 (20)

蛍火の今宵の闇の美しき

飛ぶ蛍 あれと言はんも 独りかな

草の葉を落つるより飛ぶ蛍かな

追われては 月に隠るゝ 蛍かな

大蛍ゆらりゆらりと通りけり

己が火を木々の蛍や花の宿

手の中に一つ蛍をつつみけり

蛍火の明滅に息あわせけり

蛍狩川をへだててよぶ声か

あちこちや蛍狩りする人の声

秋の蛍水くだり行く夜舟かな

秋蛍光りて消ゆること遅し

秋の蛍畳の上を這ひにけり

秋蛍ともしつ消しつ何を急ぐ

稲の葉の露にころがる蛍かな

野守草露をたづぬる蛍かな

残る蛍夜半の障子に縋りけり

残る蛍一つになりて飛びにけり

水音のくらきに落つる残る蛍

棚機姫の足もとへ飛ぶ蛍哉