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「行く夏」は、盛りを過ぎて終わりを迎えようとする夏を惜しむ心情を表す晩夏の季語です。厳しい暑さの中にも、ふとした光の翳りや夕暮れの静けさに夏の終焉を感じ取り、去りゆく季節への名残惜しさを詠み込みます。「去る夏」「送る夏」なども同じ意味で使われ、単に季節が移り変わる事実だけでなく、心の中にある一抹の寂しさや哀愁を映し出す情緒豊かな言葉です。
暑さが引いていく様子を単に説明するのではなく、身の回りの具体的な情景を通して「夏が去っていく実感」を捉えることが大切です。賑やかだった海や川の静けさ、遊び疲れた後の夕暮れ、日差しを浴びて色あせた景色など、夏ならではの余韻を描き出しましょう。その際、秋の訪れを意識するあまり、赤とんぼや秋風といった秋の季語を重ねてしまわないよう注意が必要です。夏そのものの終わりを見届ける視点を保ちましょう。
・波音、砂浜、海辺(夏の賑わいが去った水辺の気配) ・夕茜、日暮れ、雲の峰(夏の終わりの空や光の情景) ・麦藁帽子、日傘、風鈴(夏を共に過ごした道具や装い) ・畳む、しまう、立ち尽くす(惜別の思いを静かに伝える無季の動詞)