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「虚抜大根(うろぬきだいこん)」とは、秋に大根の種をまいた後、苗が密集して育つのを防ぎ、良い株を太らせるために間引いた(間引きした)小さな大根のことです。「うろぬく」とは「間引く」を意味する古い言葉や方言に由来します。大きく育つ前の若く柔らかな葉や、まだ細く白い根は、浅漬けや汁の実、炒め物などにして食卓に上ります。畑の手入れという農作業の情景とともに、秋の実りの過程にある素朴で瑞々しい命の恵みを感じさせる生活感豊かな季語です。
虚抜大根の魅力は、その「若々しさ」「素朴さ」「小さく愛らしい姿」にあります。一人前に太った大根とは異なり、細長いひ弱な根や柔らかな青葉のみずみずしい緑、土の香り、冷たくなり始めた井戸水や水道水で洗う様子などを丁寧に描写すると実感がこもります。また、間引くという少し切ない作業と、それを夕餉(ゆうげ)の恵みとして大切にいただく農の暮らしの温かさを重ねて詠むのも効果的です。
・視覚:みどり、青き葉、細き根、泥、水引く、夕餉、井戸端 ・触覚・嗅覚:土の香、冷たき水、みづみづし、やはらか ・動作:洗ふ、間引く、抜く、刻む、漬く
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