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「登高(とうこう)」は、晩秋(旧暦九月九日・重陽の節句)に高い山や丘に登る行事・風習を指す季語です。古代中国において、この日に家族や友人と高い所へ登り、茱萸(しゅゆ)の実を肘袋に身につけ、菊花酒を酌み交わして災厄を払い長寿を祈ったという故事に由来します。唐代の詩人・杜甫の有名な五言律詩「登高」をはじめ、漢詩の世界でも親しまれてきました。現代の俳句では、単なる山登りやハイキングにとどまらず、秋晴れの澄み渡った空気のなかで高みに立ち、広大な風景を眺望しながら心身を清める、精神性の高い季語として詠まれます。
「登高」を詠む際は、ただ「山に登った楽しさ」を述べるだけでなく、秋の高所ならではの「澄み切った大気」「風の冷たさ」「下界の広がり」に意識を向けることがポイントです。重陽の故事に通じるどこか厳かな気分や、遠くを望むことで生じる孤独感・人生への感慨、あるいは老境の静けさといった内面的な心の動きを取り合わせると、ぐっと格調高い句になります。息を切らして登りつめた先の開放感と、秋の深まりゆく寂寥感の対比を意識してみましょう。
・自然・風景の言葉:秋風、白雲、碧空、遠山、眼下、谷 ・動作・身体感覚の言葉:杖、息弾む、瞳澄む、佇む、靴底、影 ・故事や節句にちなむ言葉:菊酒、杯、長寿、古都、朱(あか)