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「年立ちかえる(としたちかえる)」は、旧年が去って新しい年が再び巡り来ることを寿ぐ新年の季語です。「年立つ」は年が明ける・年の初めを迎えることを意味し、そこに「立ちかえる(巡り来る、元の清らかな初めに立ち戻る)」が結びついています。古今和歌集の「年立ちかへるあしたより」をはじめとする平安時代の和歌にもみられる伝統的で雅やかな言葉遣いで、単なる時間の経過だけでなく、天地の気が一新され、生命が再び巡り始めるという瑞々しい思想が込められています。
「としたちかえる」は七音の長い季語であるため、五・七・五の「中七」に据えて句の中心にするか、上五から跨いでゆったりと詠み込むのがおすすめです。言葉自体に古典的な気品と重みがあるため、派手なお祝いの言葉を重ねるよりも、新年の凛とした空気、差し込む初日の光、静かな暮らしの一コマなどを取り合わせると、季語の格調高さが際立ちます。日々の生活の静かな改まりや、天地が新しくなった瞬間の澄んだ感覚を捉えてみましょう。
・自然の光や空(「朝光」「空澄む」「日の和む」「薄氷」など) ・静けさや心の改まり(「静寂」「心新た」「手を合わす」「息白し」など) ・新春の暮らしの道具(「硯」「白紙」「門」「畳」など)
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栞とせむと
銀杏散る
行く秋に
野菊のそつと
佇めり
色褪せし
沈黙残る
行く秋や
行く秋や
雑木林へ
日照雨して
行く秋や
漁の手袋
冷ゆるなり
山染めて
紅葉衣を
まといけり