簟の別れ

簟の別れ

たかむしろのわかれ

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意味・由来

「簟の別れ(たかむしろのわかれ)」とは、夏の暑さをしのぐために敷いていた竹製の敷物(簟・たかむしろ)を、秋の訪れとともに片付けることを指す季語です。素肌に心地よかったひんやりとした竹の感触も、朝夕に秋風が吹くようになると寒々と感じられるようになります。役目を終えた簟を巻き納める行為を、親しい人との別れに見立てて「別れ」と表現した、雅やかで叙情的な季語です。

この季語で詠むコツ

暑い夏を共に過ごした道具への愛着と、去りゆく季節への名残惜しさを表現するのがポイントです。単に「片付けた」という事実だけでなく、簟を巻き上げる際の竹の擦れる音や、取り払った後の畳のぬくもり、肌に触れる秋風の冷たさなど、触覚や聴覚を意識して詠むと季節の推移が際立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・風情や動作を表す言葉:巻き納む、紐結ぶ、埃払ふ、名残 ・季節や体感を表す言葉:秋風、夜寒、肌寒、朝夕 ・生活空間を表す言葉:畳、素足、納戸、隅、枕

簟の別れ」の俳句例 (3件)

簟の別れや夢の行どころ
炭太祇【現代語訳】夏の間、簟の上で見続けていた数々の夢は、これを片付けてしまったら一体どこへ行ってしまうのだろうか。 【鑑賞】簟を片付けるという日常の動作から、夏の夜に見た夢の行方へと詩情を広げた名句です。夏の終わりに対する一抹の寂しさと幻想的な余韻が漂います。
簟の別れや秋の肌ざはり
三浦樗良【現代語訳】簟を片付けて別れを告げると、本格的な秋の涼しさが直に肌へと伝わってくるようだ。 【鑑賞】冷感をもたらしてくれた簟をしまうことで、かえって肌に触れる秋の冷気が実感されるという、身体感覚を素直かつ的確に捉えた一句です。
簟の別れや草の庵の主
服部嵐雪【現代語訳】敷いていた簟を片付ける頃となり、この質素な草庵の主である私も、静かに秋の訪れを受け入れている。 【鑑賞】簡素な庵での静かな暮らしぶりと、季節の移ろいに寄り添って生きる風流人の心境が、しっとりとした情緒とともに描かれています。

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