旅夷祭

旅夷祭

たびえびすまつり

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意味・由来

「旅夷祭(たびえびすまつり)」は、旧暦十月二十日前後に行われる「恵比須講(夷講)」に関連する秋(晩秋)の季語です。旧暦十月は全国の神々が出雲大社に集まる「神無月」ですが、恵比須神は出雲へ赴かず「留守神」として町や家に残ると信じられてきました。商家では商売繁盛や家内安全を祈って恵比須講を行いますが、旅先で迎える恵比須講、あるいは旅商人たちが旅先で恵比須神を祀る祭り、または旅の安全を祈願する祭祀を「旅夷(たびえびす)」や「旅夷祭」と呼びます。故郷を離れた旅情と、温かな信仰や賑わいが交錯する哀歓を含んだ季語です。

この季語で詠むコツ

旅の途中でふと出くわした宿場町や街道沿いの祭りの灯火、旅先で手厚くもてなされた宿での一夜など、「旅愁」と「祭りの温かみ・賑わい」のコントラストを描くのが効果的です。晩秋の冷え込む夜気に、恵比須祭の行灯や提灯の明かり、商人たちの声が立ち上る情景を切り取ることで、旅情豊かな一句に仕上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・情景・空間:宿場、街道、旅籠(はたご)、提灯、門口、夜寒(よさむ) ・心情・動作:行き交ふ、灯す、商ふ、宿借る、旅寝(たびね)

旅夷祭」の俳句例 (3件)

旅夷あきなふ人にあひにけり
与謝蕪村【現代語訳】旅夷の夜、旅先で熱心に商いをしている商人に出会ったことだ。 【鑑賞】旅先で迎えた夷講の夜、見知らぬ土地の市や街道で行き交う商人に出会った場面を平明な言葉で詠んでいます。旅情の中に恵比須講ならではの商売の活気と、人との温かな触れ合いが感じられる名句です。
旅夷宿かる門の明りかな
高井几董【現代語訳】旅夷の祭りの夜、今宵の宿を借りようと立つ門口の、なんと心温まる灯火であろうか。 【鑑賞】冷え冷えとした晩秋の夕暮れ、旅の疲れを抱えて宿にたどり着いた時、門前に灯る旅夷の明かりが旅人を優しく迎えています。留守神を祀る夜の安らぎと、旅人のほっとした心持ちが見事に表現されています。
旅夷提灯ともす小家かな
正岡子規【現代語訳】旅夷の夜、質素な小さな家にも慎ましく提灯が灯されていることだ。 【鑑賞】宿場や街道外れの小さな民家にも、夷講を祝う提灯が小さく灯っている光景を写生した句です。派手な大店の祭りとは対照的な、慎ましくも敬虔な庶民の信仰と旅の侘しさがしみじみと伝わってきます。

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