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扇子は、風を起こして涼を取るための折りたたみ式の道具です。平安時代の日本で考案されたと伝わり、実用性だけでなく礼法や芸能、装飾品としても重宝されてきました。俳句において「扇(おうぎ)」や「扇子」は、暑さをしのぐ夏の必需品として親しまれてきた生活の季語です。使わないときは小さく折りたたんで持ち歩き、必要なときに優雅に広げて風を招くという、日本ならではの知恵と風情が込められています。
単に「暑いので風を送る」という動作だけを詠むと、平淡な句になりがちです。扇子を「パッ」と開くときや「スッ」と閉じる手元の仕草、骨に使われている竹や白檀のほのかな香り、地紙に描かれた絵柄など、五感を使った細やかな描写を意識しましょう。また、街歩き、観劇、落語の席、あるいは仕事の合間など、どのような場面で誰が使っているのかという人物の佇まいや空間の雰囲気を切り取ると、生活感や情緒が豊かに伝わります。
扇子の動きや質感、風情を引き立てる、夏または季節のない言葉と合わせましょう。 ・動作や感覚を表す言葉(無季):指先、袂、ひらく、閉づ、手擦れ、白檀の香 ・夏の暮らしや装いを表す言葉(夏):夏座敷、甚平、白絣、風待ち、木陰、涼風