南五味子

南五味子

さねかずら

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意味・由来\n「南五味子(さねかずら)」は、マツブサ科の常緑つる性木本です。秋になると、球状に集まった鮮やかな紅色の実が熟し、その艶やかで美しい様子が目を引きます。蔓(つる)から取れる粘液がかつて整髪料として使われたことから「美男葛(びなんかずら)」という別名も持っています。古くは『万葉集』や『百人一首』の「名にし負はば逢坂山のさねかずら…」にも詠まれ、「さ寝(さね=共寝)」との掛詞として恋の歌に用いられてきた、極めて雅やかで歴史の深い植物です。\n\n### この季語で詠むコツ\n南五味子の最大の特徴は、秋深まる中で艶やかに垂れ下がる「丸く赤い集合果」と、絡み合う「蔓(つる)」の造形美です。古風で艶っぽい情緒を持つ季語であるため、古典的な情趣を漂わせる詠み方や、山野・庭先のひっそりとした静けさの中で際立つ紅色の鮮烈さに焦点を当てると詩情が際立ちます。歴史や物語性、別名である「美男葛」の響きを意識して取り入れるのも効果的です。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n・色彩や艶を捉える言葉:紅、朱、露、玉、みどりご、艶\n・蔓や形状を捉える言葉:絡む、垂る、引く、結ぶ、丸し\n・場所や背景を表す言葉:山里、古垣、木の下陰、逢坂山、廃寺

南五味子」の俳句例 (3件)

さね葛また引結ぶ別れ哉
松尾芭蕉【現代語訳】さねかずらの蔓を引き結ぶように、名残惜しさを胸に秘めながら再び旅立ちの別れを交わすことだ。\n【鑑賞】『野ざらし紀行』に見える句です。「さねかずら」の蔓を手繰り寄せて結ぶ動作と、人と人との絆、そして古歌の「逢坂山」の別れのイメージを重ね合わせ、旅立ちの哀惜と深い情愛を格調高く詠み上げています。
美男葛実のくれなゐを秘めがちに
詠み人知らず【現代語訳】美男葛が、鮮やかな紅色の実を茂る葉陰にひっそりと隠すように実らせている。\n【鑑賞】つる草の葉陰からのぞく実の鮮烈な赤色に注目した句です。「秘めがちに」という表現により、奥ゆかしくも艶やかな風情が立ち現れ、別名「美男葛」が持つ特有の美意識を瑞々しく捉えています。
さね葛まろき実垂れて風もなし
飯田蛇笏【現代語訳】さねかずらの丸い実が重たげに垂れ下がっており、風一つ吹かない静寂が広がっている。\n【鑑賞】秋の日の静まり返った山野の情景を端正に写生した一句です。「まろき実垂れて」という実の重み・質感と、「風もなし」という静止した空気感の対比によって、深まりゆく秋の静寂と自然の濃密な気配が見事に表現されています。

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