豺の祭
autumn 行事

豺の祭

さいのまつり

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意味・由来\n「豺の祭(さいのまつり)」は、晩秋の季語です。「豺(さい)」とは山犬(ヤマイヌ)やカラカル、オオカミなどの獰猛な獣を指します。中国の古代の書物『礼記(らいき)』の月令に「豺乃ち獣を祭る」とあることに由来し、山犬が秋に捕らえた獲物をすぐに食べず、まるで神に供え物を捧げて祭祀を行っているかのように四方に並べる習性を表しています。古代の人々は、獣さえも天地の恵みに感謝して祭を行うのだと捉え、晩秋の厳粛でどこか神秘的な自然の営みとして受け止めました。\n\n### この季語で詠むコツ\n実際に山犬が獲物を並べている姿を見ることは現代では稀ですが、この季語は秋の深まりに伴う山野の荒涼感や野生の厳しさ、またはどこか神秘的で厳粛な山の気配を表現するのに適しています。単なるグロテスクさに流されず、太古の神話や山深い静寂、夜の気配などを想像力豊かに詠み込むのがポイントです。また、比喩として人間の食事風景や並べられた物を少し皮肉や畏怖を込めて見立てるアプローチも面白みがあります。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n・深山、岩、谷、枯野などの荒涼とした自然の情景\n・月、月光、夜、風、霧などの静けさや冷気を感じさせる天候・時間帯\n・血、骨、牙、爪などの野生や厳しさを際立たせる具象語

豺の祭」の俳句例 (3件)

豺の祭してゐる山や月の出
正岡子規【現代語訳】山犬が獲物を並べて祭りをしているのだろうか、深山から静かに月が昇ってきたことだ。\n【鑑賞】中国の故事を踏まえ、月明かりに照らされる深山幽谷の静寂と、そこに潜む野生の厳粛な営みを想像力豊かに詠み上げた一句です。
豺の祭すならん谷の月
与謝蕪村【現代語訳】あの深い谷底では山犬たちが祭りをしているのだろうか、冷ややかに月が照っている。\n【鑑賞】蕪村らしい絵画的かつ幻想的な世界観が広がる句です。谷底に射す月の冷たい光と、獣の儀式めいた習性が重なり、晩秋の山中の神秘を醸し出しています。
豺の祭に似たる宴かな
高浜虚子【現代語訳】ご馳走がずらりと並べられた様子は、まるで山犬が獲物を並べる祭りのような宴会であることだ。\n【鑑賞】古典的な季語を現実の人間界の酒宴に見立てた機知ある一句です。豪快に料理が並ぶ賑やかさを、古代の野生の儀式に重ねてユーモラスに表現しています。

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