眠流し

眠流し

ねむりながし

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意味・由来

「眠流し(ねむりながし・ねぶりながし)」は、初秋(旧暦7月7日の七夕のころ)に行われる東北地方を中心とした伝統行事であり、秋の季語です。秋の収穫期や農繁期を控えたこの時期、夏の厳しい労働によってたまった疲労や、仕事の妨げとなる睡魔(ねむけ)を「悪霊」や「厄」と見立て、合歓(ねむ)の木の枝や葉、藁人形、灯籠などに託して川や海へと流し祓い清めました。有名な青森の「ねぶた(ねぷた)祭り」や秋田の「竿燈まつり(秋田ねぶり流し)」も、この眠流しが起源・発展したものとされています。

この季語で詠むコツ

水に睡魔や厄を流し去るという、民俗的でどこか哀愁と神秘性を帯びた情景を捉えるのがポイントです。川のせせらぎや夕暮れの波、流されてゆく合歓の葉や灯籠の灯りなど、「水」と「流れるもの」の視覚的・聴覚的描写と合わせると詩情が深まります。また、単なる行事の客観描写にとどまらず、働く人々の疲労感とそこからの解放感、あるいは夏の終わりと初秋の訪れに対する寂寥感を滲ませると、季語の持つ情感がぐっと際立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・水や自然に関わる語:川瀬、夕波、川面、暮色、水音、合歓の葉(ねむのは) ・行事や光に関わる語:灯籠、舟、遠火、藁人形、紙雛、笛の音 ・心情や感覚に関わる語:微睡み(まどろみ)、静けさ、闇、澄む、祓ふ

眠流し」の俳句例 (3件)

眠流し合歓の葉青く澄める水
阿部みどり女【現代語訳】眠流しの行事が行われ、川に流された合歓の青い葉が、澄みきった水の中を流れてゆくことだ。 【鑑賞】睡魔を祓うために流された合歓の葉の鮮やかな青(緑)と、初秋の澄んだ水との色彩の対比が清冽です。素朴な民俗行事の持つ清らかな祈りと、水辺の涼やかな空気が余情豊かに描かれています。
眠流し合歓の葉青き夕波に
山口青邨【現代語訳】眠流しの宵、夕暮れの波間に流された合歓の青葉が揺れ漂っている。 【鑑賞】夕暮れどきの水面(夕波)の陰影の中に、まだ青さを保つ合歓の葉が浮かぶ情景を捉えた一句です。夏の疲れを水に託して見送る人々の心境と、移ろいゆく初秋の哀愁が巧みに重ね合わされています。
ねぶり流し遠火は海へゆくならむ
成田千空【現代語訳】ねぶり流しの夜、遠くに見える灯籠の火は、川を下ってやがて海へと向かっていくのだろう。 【鑑賞】北国の暗い夜の川を揺れながら流れていく微かな灯火。その行く先である海を思い描くことで、空間の広がりと行事の持つ厳粛な孤独感が美しく表現されています。

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