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「草茂る(くさしげる)」は、初夏から夏本番にかけて、野原や庭、道端などの草々が生命力豊かに勢いよく伸び広がる様子を表す夏の季語です。日差しを浴び、雨の恵みを受けて、あっという間に人の背丈ほどに達したり、地面を覆い尽くしたりする草の旺盛な力強さを象徴しています。古くから、人の営みが途絶えた荒廃感を表す際にも用いられますが、ただ寂しいだけでなく、自然が持つ圧倒的な躍動感や緑の深さを感じさせる豊かな言葉です。
単に「草がたくさん生えている」という事実だけを詠むと、平凡な句になりがちです。草の茂みによって何が隠れているか、あるいは何が埋もれかけているかといった「対比」を描くと、情景が鮮やかに立ち上がります。たとえば、古い石段、忘れられた自転車、空き家の塀など、人工物との取り合わせはとても効果的です。また、緑の濃さや風の音、草いきれと呼ばれる特有の匂いなど、五感を意識して描写することで、夏の強い生命力をリアルに伝えることができます。
・人工物や痕跡を表す言葉(無季):古井戸、廃線、石段、道標、フェンス、錆びた門扉 ・夏の空や気象を表す言葉(夏):炎天、夕立、青空、強い日差し、木漏れ日 ・動きや五感に訴える言葉(無季):風の音、濃き影、覆う、踏み分ける、匂い立つ