国男忌
autumn 行事

国男忌

くにおき

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意味・由来

「国男忌(くにおき)」は、日本の民俗学の創始者であり、名著『遠野物語』などで知られる柳田國男(やなぎたくにお)の命日である8月8日を偲ぶ初秋の季語です。柳田國男は日本各地を歩き、名もなき庶民の生活や信仰、妖怪や口承文芸に光を当て、日本人の精神の深層を解き明かしました。この季語は単に偉人を追悼するだけでなく、彼が生涯をかけて愛した日本の山河や里山、伝承の息づく風土そのものへの敬意と郷愁を詠み込むために用いられます。

この季語で詠むコツ

國男忌を詠む際は、柳田民俗学の象徴的な舞台である「遠野」や、峠、古道、祠、神楽、昔話といった土着の文化・風景を取り合わせると季語の背景が際立ちます。立秋の頃の少しずつ澄みゆく秋の気配や、風の音、夕暮れの寂寥感などと響き合わせることで、遠い祖先たちの暮らしに思いを馳せるような深みのある句に仕上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・地名・風土(遠野、奥羽、峠、里山、古道、集落) ・民俗・伝承(道祖神、祠、かっぱ、神楽、昔語り、石仏) ・自然・秋の景(秋風、初秋、夕茜、山河、青空、野分)

国男忌」の俳句例 (3件)

国男忌や山河にとほき人のこゑ
角川源義【現代語訳】国男忌を迎えた。澄みわたる山河の遥か彼方から、昔語りをする名もなき人々の声が聞こえてくるようだ。 【鑑賞】柳田國男の民俗学の精神に深く共鳴した句です。広大な山河に響く「遠き人の声」は、柳田が耳を澄まし続けた庶民や祖先たちの声であり、初秋の静寂の中に歴史の息遣いを感じさせます。
国男忌遠野は風の渡る町
森澄雄【現代語訳】国男忌の今日、民話の里である遠野は、爽やかな秋風が吹き渡る町であることよ。 【鑑賞】柳田國男の代表作『遠野物語』の舞台である岩手県遠野をそのまま取り合わせました。吹き渡る風が神話や昔話の余韻を運んでくるかのような、大らかで詩情豊かな一句です。
國男忌や里の古りゆく音のして
桂信子【現代語訳】国男忌である。古い里山の暮らしが、静かに時を重ねて古びてゆくような微かな音が聞こえる。 【鑑賞】民俗学が記録し守ろうとした素朴な村里の情景を、聴覚的なニュアンスで繊細に捉えた句です。初秋の静けさと時の推移への哀愁が、國男忌の追悼の意と見事に調和しています。

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