熊の栗棚
autumn 生活

熊の栗棚

くまのくりだな

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意味・由来\n「熊の栗棚(くまのくりだな)」は、単に「熊棚(くまだな)」とも呼ばれ、野生のツキノワグマなどが好物の栗やドングリの実を食べるために、樹上に作った枝の足場を指す秋の季語です。熊は木に登り、実のついた枝をボキボキと折って実を食べ、その折った枝をお尻の下に敷き重ねて座を作ります。これが下から見ると、まるで樹上に即席の「棚」が作られたように見えることからこの名が付きました。山仕事の人や登山者が秋の深山で見かける、野生のたくましさと山の深さを象徴する独特の痕跡です。\n\n### この季語で詠むコツ\nこの季語を詠む際は、その場に熊の姿は見えなくとも、そこに「山の主」である熊が確かに存在しているという「気配」や「緊張感」を表現するのがコツです。人間の立ち入らない深山幽谷の静けさや、大自然の厳しさを引き出すことができます。また、木の上を「見上げる」という視線になるため、背景にある秋の澄んだ空や、対比される色鮮やかな紅葉などを描き込むと、空間の広がりが生まれます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n* 山の自然を現す言葉:深山(みやま)、橅(ぶな)、木曾路、嶺(みね)、黄葉(もみじ)\n* 空や天候に関する言葉:秋の空、山の雲、高き、日差し、冷気\n* 気配や感覚に関する言葉:静けさ、不気味、風の音、黒し、影

熊の栗棚」の俳句例 (3件)

熊棚やうしろに高き山の雲
村上鬼城【現代語訳】ふと見上げると木の上に熊棚がある。そのすぐ後ろには、いかにも高山らしい、雄大で高い秋の雲が湧き上がっていることだ。【鑑賞】深山を旅する中で見つけた野生の生々しい痕跡(熊棚)と、その背後に広がる雄大でどこか超越的な秋の雲との対比が見事な一句です。自然への畏怖と山河の美しさが凝縮されています。
熊棚や仰げば高き山の空
飯田蛇笏【現代語訳】木の上に作られた熊棚がある。そこからさらに視線を天へと仰ぎ向ければ、吸い込まれそうなほどに高い秋の山の空が広がっている。【鑑賞】蛇笏らしい格調高く、空間の広がりを贅沢に感じさせる句です。熊棚という野生の営みの場所から、無限に広がる大宇宙としての「山の空」へと視線が抜けていく心地よさがあります。
熊棚のありてうしろの山黒し
大野林火【現代語訳】樹上に熊棚が残されているのが見える。その背後には、いっそう深く、黒々とそびえ立つ山の影が迫っている。【鑑賞】熊の気配を感じさせる「熊棚」の存在によって、背後にある山の「黒さ」が、単なる色ではなく深山の神秘性や冷たい緊張感として迫ってきます。山の恐ろしさと静寂を捉えた秀句です。

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