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「去年」は、俳句では「こぞ」と読むことが多く、新年の季語として扱われます。「きょねん」とも読みますが、五七五の音律を整える上でも、伝統的な響きを持つ「こぞ」が好まれます。新しい年を迎えたばかりの晴れがやかな正月の空気の中で、つい先日まで過ごしていた過ぎ去りし年を振り返るときに使われます。単なる暦の上の過去ではなく、年が改まったという強い意識と、過ぎ去った日々の情景への愛着や感慨が込められた風情ある季語です。
年が明けたばかりの「今」の情景や心情と対比させながら、去ってしまった時間への思いを詠むのが基本のコツです。新年を迎えた清々しさの一方で、やり残したことへの心残りや、過ぎ去った日々への名残惜しさ、あるいは無事に一年を過ごせた安堵感を詠み込むと深みが出ます。「去年今年(こぞことし)」という別の季語もありますが、「去年」単独で用いる場合は、新年の光の中でふと過ぎ去った年を懐かしむ、少し落ち着いた静かな叙情を表現するのに適しています。
「去年」は静かな内省や時間の経過を感じさせる言葉とよく合います。例えば「夢」「名残」「思ひ出」「影」といった心情に寄り添う言葉や、「手紙」「机」「古着」「日記」など身の回りの生活道具を取り合わせると、具体的な時間の重みが伝わります。また、「初日」「雑煮」「屠蘇」といった新年の明るい季語とは重なり(季重なり)になりやすいため、新春の風物と合わせる際は、主たる季語がどちらかを意識し、余計な季語を重ねずに落ち着いた叙述を心がけると効果的です。