子うるか
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意味・由来

「子うるか」とは、秋に産卵のため川を下る「落ち鮎(おちあゆ)」の成熟した卵巣(抱卵した卵)を取り出し、塩辛に漬け込んだ珍味のことです。鮎の内臓を使った「苦うるか(渋うるか)」や、身を使った「身うるか」に比べ、上品な甘みと独特のプチプチとした粒感、まろやかなコクがあるのが特徴です。産卵期の秋ならではの贅沢な味覚として古くから親しまれ、主に鮎の名産地である長良川や球磨川周辺などで作られてきました。

この季語で詠むコツ

「子うるか」は酒の肴(さかな)としての性格が非常に強いため、酒席の風情や晩酌のひととき、深まりゆく秋の夜長と結びつけて詠むのが王道です。箸の先にほんの少し取って味わうような繊細な所作や、舌の上に広がる濃厚な旨味、日本酒との相性を捉えることで、大人の落ち着いた暮らしや情感を表現できます。また、産卵期を迎えた鮎の生命や、川辺の宿の静けさといった背景を匂わせるのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 酒や宴の情景: 熱燗、地酒、盃(さかずき)、猪口、晩酌、夜長
  • 所作・味覚: 箸先、舐める、舌鼓、小鉢、ほろ苦し
  • 自然・宿の情景: 川音、瀬音、灯影(ほかげ)、雨音、川宿、山宿

子うるか」の俳句例 (3件)

子うるかや酒あたたまるまでのこと
森澄雄【現代語訳】子うるかをつまみながら、注文した酒が燗について温まるのを静かに待っていることよ。 【鑑賞】酒が温まるのを待つ間のささやかな時間に、子うるかをほんの少し味わう情景を描いています。晩秋の肌寒さの中で、熱燗を心待ちにする贅沢な間(ま)と、大人のゆったりとした晩酌の空気感が絶妙に表現された名句です。
子うるかや長良の川の夜の雨
阿波野青畝【現代語訳】子うるかを味わっていると、鮎の育った長良川に静かに秋の夜の雨が降りしきっている。 【鑑賞】鮎の名所である岐阜・長良川の風情を詠み込んだ一句です。子うるかの滋味を舌で感じながら、外に降る秋雨の音に耳を傾けることで、川の恵みへの感謝と深まる秋の哀愁が見事に重なり合っています。
子うるかにほろ酔ひ深き夜長かな
詠み人知らず【現代語訳】美味な子うるかを肴にして杯を重ねるうちに、心地よく酔いが深まっていく秋の夜長であるよ。 【鑑賞】子うるかの濃厚な旨味によって酒が進み、じっくりと夜が更けていく充実した時間を詠んでいます。秋の夜長の静寂と、ほろ酔いの心地よさが一体となった、しみじみとした情感あふれる句です。

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