粉茶立
autumn 生活

粉茶立

こなちゃたて

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意味・由来

「粉茶立(こなちゃたて)」は、晩秋に吹く冷たく乾いた強風を指す季語です。お茶を点てたときの細かな泡立ちのように、地面の細かな塵や砂、あるいは乾いた落ち葉を白く渦巻くように舞い上げる様子から、この名が付けられました。冬の「木枯らし」に至る手前の時期、どこか寂しげで荒涼とした風景のなかに吹く風であり、お茶の産地である宇治などで茶を挽く秋の季節感とも重なり合っています。

この季語で詠むコツ

ただ激しく吹く風として捉えるのではなく、砂塵がサラサラと舞う「視覚的な細やかさ」や、肌に当たる「チクチクとした冷たさ」を描写するのがコツです。舞い上がった砂が何かに当たる音や、風が通り抜ける際の聴覚的な寒々しさに着目すると、粉茶立という季語が持つ特有の質感が際立ちます。日常の暮らしのなかで感じる、冬支度を急がせるような風の気配を捉えてみましょう。

相性のいい言葉・取り合わせ

砂や落ち葉を巻き上げる様子と調和する「障子」「小路」「軒端」「垣根」といった、生活空間のすぐ外側にある事物と好相性です。「巻き上げる」「白む」「遮る」などの動詞や、「暮れかかる」「薄日」といった晩秋の短い一日を感じさせる時間帯の言葉を取り合わせると、風の荒涼とした情緒がよりいっそう引き立ちます。

粉茶立」の俳句例 (3件)

粉茶立や日は暮れかかる小松原
与謝蕪村【現代語訳】粉茶立(砂塵を細かく巻き上げる冷たい秋風)が吹きすさび、日も暮れようとしている寂しい小松原よ。 【鑑賞】粉茶を点てたときのように、細かな塵や落ち葉を巻き上げる晩秋の風「粉茶立」。薄暗い小松原の中で、風が白く砂を舞い上げ、日が暮れていくうら寂しい光景が絵画的に捉えられています。
こな茶立や障子をはさむ風の音
服部嵐雪【現代語訳】粉茶を泡立てるように砂塵を巻き上げて吹く秋風が、障子の外と内で挟むようにして激しく鳴り響いている。 【鑑賞】風が障子の外から、また室内へと吹き抜けるようにして、障子全体を激しく揺らしている様子を描いています。冷え冷えとした秋の終わりの空気感が、障子の紙一枚を隔てて伝わってくる名句です。
こな茶たて小路へ落す木の葉かな
各務支考【現代語訳】砂塵を舞い上げる風が吹き荒れ、狭い路地へと次々に木の葉を落としていくことよ。 【鑑賞】「粉茶立」の風が、路地のあちこちで木の葉をぐるぐると巻き上げながら落としていく様子を捉えています。視覚的な動きと、晩秋の寂寥感が「小路」という具体的な空間を通して見事に表現されています。

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