萱の軒場
autumn 生活

萱の軒場

かやののきば

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意味・由来\n「萱の軒場(かやののきば)」とは、ススキやチガヤなどの萱(かや)で葺いた屋根の軒先、あるいはその周辺の場所を指す言葉です。かつての日本の山里や古い庵で見られた萱葺き屋根は、自然の素材が年月を経て味わいを増していく、侘び寂びの美しさを象徴しています。秋になると、萱の穂が揺れ、軒端に宿る露が月光に濡れるなど、秋の寂寥感やひなびた情趣を強く引き立てる季語として機能します。素朴な暮らしの営みと自然の美しさが調和した、日本の原風景を感じさせる言葉です。\n\n### この季語で詠むコツ\n「萱の軒場」を詠み込む際は、萱葺き屋根という古風なモチーフが持つ「寂しさ」や「懐かしさ」をどのように引き出すかが鍵となります。単に古い家を写生するだけでなく、そこへ注ぐ光(月光や夕日)、風の音、立ち上る生活の煙(夕煙など)を重ね合わせることで、空間に立体感と情緒が生まれます。視覚だけでなく、耳や肌で感じる秋の冷気などを意識して詠むと効果的です。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n- 光・影:月影、夕日、灯火、薄暮\n- 気象・自然:秋風、時雨、露の玉、薄煙\n- 風情・場所:山里、庵、古寺、ひそやか

萱の軒場」の俳句例 (3件)

秋風や萱の軒端の薄煙
正岡子規【現代語訳】秋の寂しい風が吹き抜ける中、山里の萱葺き屋根の軒端から、夕餉の仕度のためか、かすかな薄煙が立ち上っている。\n【鑑賞】子規が山里の静かな生活のひとコマを写生した句です。冷涼な「秋風」という自然の厳しさと、人の暮らしの温もりを感じさせる「薄煙」のコントラストが、見る者の心に深い郷愁を呼び起こします。
月影や萱の軒端の露ながら
小林一茶【現代語訳】澄み切った秋の月光が、萱葺きの軒端に結んだ夜露を、そのままキラキラと美しく照らし出している。\n【鑑賞】一茶が自然の細やかな美しさに目を留めた名句です。軒端に宿る儚い「露」と、それを優しく包み込む「月影」の光が調和し、山里の清らかで静まり返った秋の夜の空気感を伝えてくれます。
秋風の吹残したる萱の軒
与謝蕪村【現代語訳】激しい秋風がすべてを吹き払って通り過ぎたあとに、まるでそこだけ吹き残されたかのように、古びた萱葺きの軒がひっそりと佇んでいる。\n【鑑賞】蕪村らしい絵画的な構図が光る一句です。吹きすさぶ秋風の動的な激しさと、それに耐えて静かに残された萱の軒の静的な佇まいが対比され、秋の深まりと寂寞感が鮮やかに表現されています。

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