㡡の名残
autumn 生活

㡡の名残

かやのなごり

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意味・由来

「㡡の名残(かやのなごり)」は、秋になっても片付けずに吊り残している蚊帳、あるいは蚊帳を取り払ったあとの寂しさを表す季語です。かつて日本の夏に欠かせなかった蚊帳は、秋風が吹き始める頃になるとその役目を終えます。しかし、まだ蚊が少し残っているからと吊り続けたり、あるいは片付けたあとの部屋が急に広く、寒々しく感じられたりする日本の生活感情が込められています。夏の終わりと秋の訪れを、暮らしの道具を通して繊細に捉えた情緒豊かな言葉です。

この季語で詠むコツ

蚊帳の網目を通して見る外の景色や、蚊帳の中に差し込む秋の月光、あるいは蚊帳を片付けた瞬間の部屋の「広さ」や「冷気」に着目すると、生活感と季節の移り変わりが鮮やかに描写できます。また、蚊帳を片付ける時期の引き延ばし(名残惜しさ)に着目するのも良いでしょう。日常のふとした寂しさに焦点を当てることがポイントです。

相性のいい言葉・取り合わせ

・秋の月 / 月明り ・灯火(ともしび) / 灯(ともし) ・風 / 夜風 ・冷気 / 肌寒し ・部屋の広さ / 畳の青さ

㡡の名残」の俳句例 (3件)

蚊帳の名残り今宵の月のあかるさよ
加賀千代女【現代語訳】蚊帳を吊ったまま過ごす名残の秋の夜、今夜差し込んでくる月の光はなんと明るく澄んでいることでしょう。【鑑賞】蚊帳越しに透けて見える秋の澄んだ月光の美しさを捉えた句です。蚊帳の白い網目が月光を柔らかく受け止め、部屋全体を幻想的な明るさで満たしている様子が浮かびます。
蚊帳の名残灯を消せば月明り
高浜虚子【現代語訳】秋になっても残している蚊帳の中で、部屋の灯りを消すと、そこには美しい月の光が満ちていた。【鑑賞】灯りを消した瞬間に、蚊帳の網目をとおして室内に滑り込んでくる月光の白さが際立ちます。生活のなかの静かな一コマから、秋の夜の深まりを感じさせる名句です。
蚊帳の名残二日ばかりのともし哉
与謝蕪村【現代語訳】蚊帳を取り払う前の、あと二日ばかりとなった名残の時期の、その蚊帳の内側を照らす灯火の風情よ。【鑑賞】蚊帳を片付ける直前のわずかな日々、薄い網を通して見る灯火の柔らかさや、過ぎ去る夏への惜別の情が、静かに美しく描かれています。

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