桂の衣
autumn 生活

桂の衣

かつらのころも

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意味・由来

「桂の衣(かつらのころも/かつらごろも)」は、秋の情趣を深く湛えた季語です。この言葉には主に二つの由来があります。一つは、京都の桂川流域に住み、鮎や飴を商った「桂女(かつらめ)」と呼ばれる女性たちが身につけていた白い頭巾や独特の装束を指すものです。彼女たちのまとう白い衣は、秋の澄んだ景観の中でひときわ目を引く美しさがありました。もう一つは、中国の「月には桂の巨木が生えている」という伝説に由来し、月の光や、月世界の住人がまとう衣服を「桂の衣」と見立てるロマンチックな表現です。桂の木が秋に美しく黄葉する様子を衣に例えることもあります。

この季語で詠むコツ

「桂の衣」を句に仕立てる際は、この言葉が持つ「白さ」「清らかさ」「古典的な優雅さ」をどのように生かすかがポイントになります。桂女のまとう衣としての生活感や、秋風にたなびく具体的な情景を写生的に捉える方法と、月夜の伝説に寄せて幻想的な雰囲気を醸し出す方法があります。言葉自体に強い詩情と美しさがあるため、周囲の状況はシンプルに描写し、この季語が持つ色彩感や情感を際立たせると良いでしょう。

相性のいい言葉・取り合わせ

・色彩を表す言葉(白、月影、澄む、黄葉、夜の闇) ・動きや風情を表す言葉(ひるがえる、風、乾く、垣根、干す) ・月や夜に関連する言葉(月夜、望月、影、さやけき)

桂の衣」の俳句例 (3件)

桂衣ひるがへりゆく月夜かな
詠み人知らず【現代語訳】美しい月の光が照らす夜、桂女の着る白い衣が、夜風にひるがえりながら去っていく。なんと幻想的な夜だろう。 【鑑賞】秋の月夜に白く浮かび上がる桂の衣を、ロマンチックに描いた句です。「桂」は月の中に生えているとされる伝説の木でもあるため、「桂衣」という言葉自体が月との高い親和性を持ちます。月の光を浴びて白くはためく衣の美しさと、静かに去っていく人物の余韻が、幻想的な世界観を構築しています。
秋風や桂の衣うすからず
与謝蕪村【現代語訳】秋の涼風が吹き抜ける中、京都・桂の里の女性(桂女)が身にまとっている白い「桂の衣」は、決して薄手で寒そうなものではないなぁ。 【鑑賞】秋風の中でりんと立つ桂女の姿を捉えた句です。「うすからず」という表現には、彼女たちのたくましい生活感や、衣服の確かな質感が込められており、秋の訪れと人々の暮らしを詩情豊かに表現しています。
桂衣かけてほしたる垣根かな
正岡子規【現代語訳】桂女が着る白い桂の衣が、垣根にふわりと掛けられて干されている、のどかな秋の光景だなあ。 【鑑賞】桂の里の日常的な一コマを写生した句です。洗ったばかりの白い桂衣が、緑の垣根に干されている様子は、清潔感にあふれ、秋の澄んだ空気を感じさせます。生活の匂いがありながらも、絵画的な美しさを湛えた、子規らしい簡潔で温かみのある表現です。

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