化生
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意味・由来

「化生(かせい)」とは、仏教において「過去の業によって、何もないところから忽然と誕生すること」を意味する言葉ですが、俳句においては「お化け」や「妖怪」、「変化(へんげ)」といった、正体のわからない不気味な怪異を指す秋の季語です。万物が衰え、寂しさが極まる秋の季節は、ふとした闇や風の音に、この世ならざるものの気配を感じやすい時期です。そうした秋の寂寥感や、自然に対する畏怖の念が、この「化生」という季語に凝縮されています。

この季語で詠むコツ

単に「お化けが出て怖い」という恐怖心だけを詠むのではなく、秋の深まりに伴う寂しさや、うらぶれた情緒と結びつけることが大切です。身の回りの自然(うねる草木、風の音、不気味に伸びる影など)を「化生」の仕業に見立てることで、日常に潜む怪しくも魅力的な非日常感を表現できます。ユーモアを少し交えるのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 「庵(いお)」「古寺」「藪(やぶ)」などの寂びた場所
  • 「暮色(ぼしょく)」「夜嵐(よあらし)」「月影」などの秋の光景
  • 「這う」「うごめく」「囁く(ささやく)」といった、生々しく不気味な動きを表す言葉

化生」の俳句例 (3件)

化生のものの如くに這ふ芋の蔓
高浜虚子【現代語訳】まるで妖怪か何かのように、うねうねと不気味に地面を這い伸びている芋の蔓であるよ。【鑑賞】「芋の蔓」という日常的な植物が、秋の生命力の衰えの中で、どこか怪しげで超自然的な存在(化生の者)のように見えてくる瞬間を捉えています。虚子の鋭い写生眼が生み出した、不気味ながらも力強い一句です。
化生とも思はで過ぐる秋の暮
鈴木真砂女【現代語訳】妖怪のような恐ろしい化け物が現れたとしても、それさえも気に留めることなく、私は一人で静かに秋の夕暮れを過ごしている。【鑑賞】波乱に満ちた人生を歩んだ真砂女ならではの肝の据わった句です。秋の暮れの寂しさに立ち向かう、あるいは同化しているような、静かでありながらも強い意志が感じられます。
化生の者出さうな庵や秋の暮
与謝蕪村【現代語訳】お化けでも出てきそうな、この寂しい草庵の秋の夕暮れであることよ。【鑑賞】蕪村独特のユーモアと寂寥感が漂う句です。秋の暮れの心細さを「化生の者(お化け)」が出そうだと表現することで、かえってその寂しさが際立ち、どこか親しみやすさも生まれています。

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