雁の衣
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雁の衣

かりのころも

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意味・由来

「雁の衣(かりのころも)」は、秋に北方から渡ってくる雁の群れの姿やその羽を、美しい「衣」に見立てた風雅な言葉(雅言)です。古くは『万葉集』をはじめとする和歌において、雁の列を衣の縫い目や折り目に見立てたり、雁の羽を旅の衣に喩えたりしたことに由来します。秋の訪れを告げる雁の到来を、季節を装う優美な衣裳として捉える、日本人の繊細な美意識が凝縮された季語です。

この季語で詠むコツ

「雁の衣」は非常に文学的でロマンチックな響きを持つ言葉です。そのため、単に雁が飛んでいる様子を描写するだけでなく、「衣」という比喩を活かした表現に挑戦するのがコツです。「重ねる」「織る」「縫う」「ほつれ」といった衣服にまつわる言葉(縁語)を取り入れることで、季語の持つ豊かな情緒を引き出すことができます。秋の深まりに伴う寒暖の変化と結びつけるのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 衣服に関連する言葉(一重、重ね、ほつれ、針、糸、織る、縫う)
  • 空や光を表す言葉(夕暮れ、夕日、茜空、薄暮、雲の端)
  • 体感を表す言葉(冷やや香、寒し、風の音、身に染む)

雁の衣」の俳句例 (3件)

雁の衣かさねて着べき寒さかな
与謝蕪村【現代語訳】秋が深まり、渡ってきた雁の羽を重ねて着たいほどの、身に染みる寒さになったことよ。【鑑賞】「雁の衣」を実際の衣服のように重ねて着たいと表現することで、秋の深まりとともに増す寒さを視覚的かつユーモラスに表現した、蕪村の機知に富んだ名句です。
雁の衣ぬうてくだされ針仕事
正岡子規【現代語訳】針仕事をしている人よ、空を飛ぶ雁の羽(衣)のほつれを、美しく縫い直してやっておくれ。【鑑賞】雁の不揃いな列や傷ついた羽を「ほつれた衣」に見立て、地上の針仕事の女性に優しく呼びかけるような、子規の温かみと遊び心が光る一句です。
雁の衣まだ一重なる夕哉
立花北枝【現代語訳】渡ってきたばかりの雁の衣は、まだ一重(単衣)のように軽やかに見える夕暮れ時であることよ。【鑑賞】まだ本格的な寒さが来る前の初秋の夕暮れを、薄手の「一重の衣」に例えて描き出しています。季節の微妙な移り変わりを繊細に捉えた情緒ある表現です。

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