葉月

葉月

はづき

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意味・由来 葉月(はづき)は陰暦八月の異称で、秋(仲秋)の季語です。現在の新暦ではおおむね八月下旬から十月上旬頃にあたります。その語源には諸説あり、木の葉が紅葉して落ち始める「葉落ち月(はおちづき)」が転じたとする説や、北方から雁が渡来する「初来月(はつきづき)」、稲の穂が張る「穂張り月(ほはりづき)」に由来するという説などがあります。現代感覚の猛暑の「8月」とは異なり、季語としての葉月には、大気が澄み、秋の涼風や澄んだ月影が感じられる豊かな季節感が込められています。 ### この季語で詠むコツ 現代のカレンダーの8月(真夏)のイメージで詠むのではなく、初秋から仲秋へと向かう「秋の深まり」や「季節の移ろい」を意識することが大切です。残暑の厳しさの中に紛れ込む朝夕の冷気、高く澄み渡る秋空、陰暦八月の大潮(葉月潮)など、ふとした瞬間に立ち現れる秋の兆しをすくい取るように描写すると、季語の風雅な響きが生きてきます。 ### 相性のいい言葉・取り合わせ 「潮(うしお)」「波」「風」「空」「雲」といった雄大で澄んだ自然現象を表す言葉と非常によく調和します。また、「はや」「暮れて」「満つ」などの時間の推移を思わせる言葉や、「澄む」「青し」「冷ゆ」といった秋ならではの透明感や涼やかさを示す言葉と取り合わせることで、葉月の持つ詩情と格調が一段と際立ちます。

葉月」の俳句例 (3件)

海くれて葉月の潮の重さかな
角川源義【現代語訳】海辺の日が暮れてあたりが暗くなると、満ちてくる陰暦八月の潮の重々しさがしみじみと感じられることだ。【鑑賞】夕闇に包まれる海で、視覚が遮られる分、波の音や大潮の迫力が肌身に迫ってくる情景です。秋の潮が湛える冷気と深さを「重さ」という触覚的・心理的な言葉で把握し、秋の宵の寂寥と大自然の厚みを詠み上げています。
葉月潮高うなり来て松を噛む
水原秋桜子【現代語訳】陰暦八月の大潮が高く満ちてきて、海岸に立つ松の根元を激しく噛むように打ち寄せている。【鑑賞】「葉月潮」とは陰暦八月前後の大潮のことです。秋の海が満ちて勢いを増し、波が岩や松を激しく打つ様子を「松を噛む」と力強く表現しています。初秋の自然の荒々しくも引き締まった気迫を見事に捉えた一句です。
葉月きていよいよ青き山の襞
皆吉爽雨【現代語訳】葉月の季節が訪れて、山々の重なり合う陰影がますます鮮やかな青さを深めている。【鑑賞】秋に入って大気が澄みわたり、遠くの山のひだ(谷筋の凹凸)がくっきりと青く際立って見える様子を描いています。「いよいよ青き」という率直な把握の中に、夏の湿った光から秋の澄明な光へと空気が一変した感動が美しく表現されています。

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