蛾眉
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蛾眉

がび

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意味・由来

「蛾眉(がび)」とは、カイコガの触角(触髭)のように、中央が太く両端が細く美しく曲がった眉毛のことです。中国の古典において「美人の眉」を形容する言葉として使われてきました。俳句においては、その形が三日月に似ていることから、秋の夜空に浮かぶ「細く美しい三日月(蛾眉月)」の異称として用いられます。秋の澄んだ空気に浮かぶ、繊細でどこか儚げな月の光を象徴する、非常に雅やかで美しい季語です。

この季語で詠むコツ

「蛾眉」はただの「三日月」ではなく、古典的な美意識や女性的な繊細さを内包した言葉です。そのため、単に「細い月が見える」という情景描写にとどまらず、静寂、冷気、哀愁、あるいはいにしえのロマンといった情緒を意識して詠み込むと効果的です。現代の日常風景に落とし込む場合は、その古典的な響きと現代の生活感とのコントラストを意識すると、新鮮な味わいの句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

雅な雰囲気を引き立てる言葉や、秋の冷涼な空気を表す言葉とよく調和します。

  • 時間・空間を表す言葉:「夜寒(よさむ)」「秋の夜」「山の端(やまのは)」「梢(こずえ)」
  • 色や光を表す言葉:「細き」「冷ややか」「白し」「影」「差す」
  • 古典的・情緒的な言葉:「いにしえ」「筆」「鏡」「面影」

蛾眉」の俳句例 (3件)

蛾眉の月山より出でて細きかな
正岡子規【現代語訳】美しく細い蛾の触角のような三日月が、山の上から現れて、実に細く繊細に輝いていることよ。【鑑賞】秋の夜空に昇る極細の三日月を、古典的な美称である「蛾眉」を用いて表現した句です。山の端から現れたばかりの月光の、壊れそうなほどの細さと美しさが、素直な写生によって見事に捉えられています。
秋風や蛾眉を画きし筆のあと
与謝蕪村【現代語訳】冷ややかに吹く秋風よ。かつて美人が美しい眉(蛾眉)を描いた、その優美な筆の跡が、今もそこにあるかのように思われて切ないことだ。【鑑賞】「秋風」の寂しさに、美人の眉を表す「蛾眉」を配した蕪村ならではのロマンチックな一句。絵巻物や古い肖像画を見ているかのような、古典的で視覚的な美しさが漂います。
蛾眉の月眉より細く出でにけり
正岡子規【現代語訳】美しい人の眉に例えられる三日月が、本物の人間の眉よりもさらに細い姿で、秋の空に現れたことだ。【鑑賞】「蛾眉(美人の眉)」という比喩の語源を逆手に取り、実際の「眉」よりもさらに細いと表現した子規の知的な遊び心が光る句です。秋の澄み切った大気の中に浮かぶ、今にも消え入りそうな細い月の姿が鮮やかに描かれています。

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