浅漬市

浅漬市

あさづけいち

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意味・由来

「浅漬市(あさづけいち)」とは、秋に収穫されたばかりの新大根や新蕪を浅漬け(新漬け)にして売り出す市のことです。秋の深まりとともに各地の神社仏閣の境内や宿場町・城下町などで市が立ち、樽にぎっしりと詰まった漬けたての野菜が並びました。東京・日本橋の「べったら市」に代表されるように、商売繁盛を願う恵比寿講の時期とも重なり、威勢のよい売り声とともに秋の訪れ・深まりを庶民に知らせる風物詩として長く親しまれてきました。

この季語で詠むコツ

浅漬市は、収穫の喜びと生活の活気、そして季節の移ろいが交差する季語です。詠む際は、樽から立ち上る麹や酢の甘酸っぱい匂い、水気を含んだ新大根の眩しい白さ、夕暮れから夜にかけての冷え込みと人の熱気の対比などを具体的に捉えると効果的です。単なる情景描写だけでなく、買い求める人々の暮らしの温もりや、秋が深まる肌寒さを添えると陰影のある句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 視覚・光景:白大根、漬物樽、灯影(ほかげ)、夜店、夕月、買物籠
  • 気候・季節感:夜寒(よさむ)、秋風、暮早し、露
  • 聴覚・嗅覚・動作:売り声、呼び声、麹の香、塩気、袖擦り合う、立ち寄る

浅漬市」の俳句例 (3件)

浅漬の市や夜寒のからす骨
宝井其角【現代語訳】浅漬市が立つ賑わいの中、夜寒の冷え込みに烏骨鶏(からすぼね)も身を縮めていることよ。 【鑑賞】其角らしい都会的な観察眼と機知が光る一句です。秋の夜の浅漬市で賑わう人混みの中、ふと見かけた烏骨鶏(あるいは寒さに痩せた烏のような姿)の冷え冷えとした様子を描き、市の熱気と秋の深まる寒さのコントラストを鮮やかに表現しています。
浅漬の市たつ町や秋の風
横井也有【現代語訳】浅漬市が立ち並ぶ町通りを、身にしみる秋の風が吹き抜けていく。 【鑑賞】尾張の俳人・横井也有の句。新漬けの樽が並ぶ市の活気と、そこに吹き渡る秋風の清涼感・寂寥感をすっきりと取り合わせています。庶民の生活の営みと季節の推移が素直に詠み込まれており、秋の澄んだ空気感が伝わってきます。
浅漬の市に買ふてや夜半の客
三宅嘯山【現代語訳】浅漬市で買い求めた漬物を肴にして、夜更けに訪ねてきた客をもてなすことだ。 【鑑賞】京都の俳人・三宅嘯山による生活感あふれる句。浅漬市で買ってきたばかりのみずみずしい新漬けを、夜遅くにやってきた親しい客人にさっと出して酒を酌み交わす、秋の夜の風雅で温かな交友風景が思い浮かびます。

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