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「乾風(あなじ・あなし)」とは、主に西日本や瀬戸内海、九州などの沿岸部で使われてきた、冬の強い北西の季節風を指す言葉です。荒々しく吹きつける風であることから「荒風(あらかぜ)」が転じたとも、天の穴から吹き出すような風という意味で「穴風」から来ているとも言われています。雪や雨を伴わず、空気の乾燥した冷たく激しい突風であり、古くから漁師たちに恐れられ、警戒されてきた生活に根ざした風の季語です。
乾風を詠む際は、ただ「寒い」と述べるのではなく、風の激しさや乾ききった大気の質感を具体的に捉えることが肝心です。海が白波を立てて荒れる様子、船が港に固く繋がれている風景、あるいは家々の戸や窓を激しく揺らす音など、風そのものの姿を周囲の事物の動きによって描写してみましょう。荒涼とした厳しさと、その風に耐え忍ぶ人々の暮らしの陰影を描き出すと、味わい深い句になります。
・海の情景を表す言葉(白波、波頭、港、繋船、岩礁、沖) ・音や聴覚に関わる言葉(轟く、軋む、鳴る、唸る) ・生活感や厳しさを映す言葉(舟板、干鰯、雨戸、縄、塩、夕暮れ)
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鹿の声して
杜の暮る
楓の葉
染まりて山の
色を編み
まだ聞かぬ
鹿の声待つ
山深し
十字路の
どこかに消ゆる
鹿の声
天空を
突いて地渡る
鹿の聲
鹿の声
ついぞ聞かずに
古希ならむ