秋の大潮

秋の大潮

あきのおおしお

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意味・由来

「秋の大潮(あきのおおしお)」は、秋の時期に見られる干満の差が非常に大きい大潮のことです。傍題に「秋潮(あきしお)」などがあります。旧暦八月(中秋)前後は、月と太陽の引力に加えて地球の位置関係から一年で最も潮位が高くなり、干満差が最大となります。満潮時には渚や岩礁をすっぽりと覆うほど潮が満ち、干潮時には普段見られない遠浅の海底や広大な干潟が現れます。澄み渡る秋空のもと、海水の青さが深まり、力強くダイナミックな波が寄せる秋の海の代表的な景です。

この季語で詠むコツ

秋の大潮を詠む際は、満ち引きのダイナミックなスケール感と、秋特有の澄んだ空気感・色彩感を意識することが大切です。満ちてくる潮の力強さ(波しぶき、消える渚など)を描くか、逆に大きく引いた潮の後の静けさ(干潟、取り残された小魚や貝など)に着目するかで句の表情が大きく変わります。視覚的な「海の青さ」や、肌で感じる「涼風」「潮の匂い」など五感を働かせて具体的に描写すると効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

・地形や場所を表す言葉(渚、巌、防波堤、干潟、入江、島影など) ・海の営みや道具(繋船、捨小舟、舫ひ綱、魚網、足跡など) ・色彩や動態を描く言葉(ま蒼、白波、満ち満ちて、洗ふ、押し寄すなど)

秋の大潮」の俳句例 (3件)

秋潮の満ちくるときは青きこと
山口誓子【現代語訳】秋の潮がぐんぐんと満ちてくるとき、その海水はどこまでも深く澄んだ青色をしていることよ。 【鑑賞】澄み切った秋空のもと、潮位が大きく上がる秋潮の力強い量感と、どこまでも青く清冽な海の色を鮮やかに捉えた名句です。
秋潮や舟押し出すも一人づつ
正岡子規【現代語訳】秋の満ち潮が寄せる海へ、舟を押し出して出す作業も一人ずつ順番に行われていることだ。 【鑑賞】大きく満ちてくる秋の海を前に、淡々と日常の仕事に励む漁師たちの姿を写生しています。大自然の雄大な潮の動きと人の静かな営みの対比が際立ちます。
秋潮のま蒼に満ちて渚なし
日野草城【現代語訳】秋の潮が真っ青に満ちあふれて、波打ち際の砂浜(渚)すら水の下に消えてしまった。 【鑑賞】年間で最も潮位が高くなる秋の大潮の迫力を、砂浜が隠れてしまうほどの満潮と、澄み渡る海の深い青さによって鮮烈に描き出しています。

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