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「たぶの実」は、クスノキ科の常緑高木であるタブノキ(椨の木)が初秋につける果実のことです。タブノキは暖かい沿岸地や神社の境内(社叢)などに多く自生し、時に神木として何百年もの樹齢を誇る巨木になります。夏から秋にかけて直径1センチほどの球形の実がつき、熟すと黒紫色になります。果柄(実を支える軸)が赤色を帯びて反り返る特徴があり、実の黒紫色との対比も鮮やかです。熟した実が社寺の屋根や敷石、地面にポトポトと音を立てて落ちる様子は、秋の訪れと静寂を深く感じさせます。
たぶの実は、その「落ちる音」や「落ちて広がる様子」など、聴覚や動きに焦点を当てて詠まれることが多い季語です。また、タブノキ自体が古い寺社や屋敷林に多く見られるため、どこか厳かで静まり返った場所の情景とよく調和します。単に木を見上げるのではなく、地面に転がる実の質感や、踏まれたときの青い匂い、野鳥がついばみに集まる気配など、五感を開いて描写すると、深まりゆく秋の気配を立体的に捉えることができます。
・場所・空間:境内、社(やしろ)、石段、古井戸、屋根、瓦、土間 ・動作・状態:落ちる、ひびく、転がる、鎮まる、跳ねる、散らばる ・自然・生き物:海風、木漏れ日、野鳥、鴉(からす)、鳩、小波
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