西鶴忌
autumn 行事

西鶴忌

さいかくき

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意味・由来

「西鶴忌(さいかくき)」は、江戸時代前期の浮世草子作者であり談林派の俳諧師としても知られる井原西鶴(いはらさいかく)の忌日(陰暦8月10日)を指す、秋の季語です。西鶴は『好色一代男』や『世間胸算用』などで町人の喜怒哀楽や金銭欲、男女の情愛をリアルかつユーモラスに描き出しました。また、1日に数千句を詠む矢数俳諧など超人的な才能を発揮したことでも有名です。そのため西鶴忌には、彼の人間味あふれる作風や、上方(大阪)の町人文化の賑わい、人生の無常や粋(いき)を偲ぶ情緒が漂います。

この季語で詠むコツ

西鶴といえば「大阪(難波)」「商売」「町人の暮らし」「好色・浮世」といったイメージが強く結びついています。ただ故人を悼むだけでなく、どこか人間臭いユーモアや風刺、あるいは現世をたくましく生きる人々の姿を取り合わせると、西鶴忌ならではの味わいが生まれます。大阪の町並みや下町の路地、酒やお金、男女の機微などを描くことで、西鶴の世界観を現代の感覚で生き生きと表現することができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・地名・風物:難波(なにわ)、道頓堀、長屋、路地、夕月、下駄の音 ・情景・生活:銭(ぜに)、酒杯、格子戸、紅(べに)、帯、そろばん ・心情・語句:浮世(うきよ)、粋(すい)、ぬくもり、賑わい、うたかた

西鶴忌」の俳句例 (3件)

西鶴忌難波の月の隈もなし
正岡子規【現代語訳】西鶴忌の今宵、西鶴が愛し描いた難波の空には、一点の曇りもなく明るい月が照り輝いている。【鑑賞】西鶴の故郷であり作品の主舞台となった大阪・難波の夜空に、くっきりと冴えた月が浮かんでいる光景を詠んだ句です。「隈もなし(曇りがない)」という表現に、町人文化のエネルギーを赤裸々に描ききった西鶴の豪快で明快な文学世界への敬慕が込められています。
西鶴忌浮世の骨の軽さかな
森澄雄【現代語訳】西鶴忌を迎えて思うのは、この浮世に生きる人間の骨、つまり生のありようのなんと軽やかで儚いことか。【鑑賞】西鶴が生涯をかけて描き続けた「浮世」と、人間の有限な肉体(骨)の軽やかさを響き合わせた名句です。現世の欲望や執着をユーモアと達観をもって描いた西鶴の人生観に寄り添い、無常でありながらもどこかからっとした人間愛を感じさせます。
西鶴忌古町名の下駄の音
阿波野青畝【現代語訳】西鶴忌の今日、古くからの町名が残る通りを歩いていると、からころと情緒ある下駄の音が響いてくる。【鑑賞】古い大阪の町人町情緒を捉えた一句です。「古町名」という言葉によって江戸時代から続く町人たちの営みが呼び起こされ、そこに響く下駄の音から西鶴の小説に出てくるような市井の人々の足音が連想されます。聴覚を通じて西鶴の息遣いを感じさせる巧みな作品です。

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