皀莢
autumn 生活

皀莢

さいかち

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意味・由来

「皀莢(さいかち)」とは、マメ科の落葉高木で、秋になると長さ20〜30センチメートルほどにもなる、ねじれた刀のような形をした平たい豆(実)をたわわに実らせます。古くからこの実を水に揉みだして泡立たせ、石鹸(洗剤)の代用や生薬として用いてきたため、人々の生活に非常に密着した身近な植物でした。また、幹や枝には鋭く硬い棘(とげ)が多く生えているのも特徴です。秋が深まるにつれて実が黒褐色に乾き、風に揺れてカサカサと寂しげな音を立てる様子は、日本の原風景とも言える秋の侘しさを感じさせます。

この季語で詠むコツ

皀莢は、その独特な「実の形状」「質感」「音」、そして「棘」という多面的な特徴を持っています。作句の際は、大きくねじれた実のユーモラスな形を視覚的に描写するか、あるいは乾燥して風に吹かれたときに出る「乾いた音」に聴覚からアプローチすると、深まる秋の哀愁を表現しやすくなります。幹の鋭いトゲが醸し出す荒々しさと、ぶら下がる実ののどかさとの対比に注目するのも面白いでしょう。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 聴覚や触覚を刺激する言葉(「風渡る」「からから」「乾く」「音」など)
  • 光や影、寂寥感を出す言葉(「日のあたる」「夕日」「枯野」「影」など)
  • 素朴な農村の風景(「牛」「野川」「畑」「生垣」など)

皀莢」の俳句例 (3件)

皀莢の実に日のあたる枯野かな
正岡子規【現代語訳】 冬を前にしてすっかり草木が枯れ果てた野原の中で、皀莢(さいかち)の実だけにぽつりと暖かな秋の日差しが当たっている。 【鑑賞】 荒涼とした枯野の景色の中で、ねじれて乾いたさいかちの実が、斜めに差し込む陽光に照らされて光る様子を描いています。寂しげな背景だからこそ、実の存在感とそこに当たる光の温かさが一際引き立つ、絵画的な一句です。
皀角の実の落ちかかる牛の角
松尾芭蕉【現代語訳】 大きく実った皀莢(さいかち)の実が、のんびりと佇んでいる牛の立派な角に、今にも落ちかからんばかりにぶら下がっている。 【鑑賞】 元禄7年(1694年)の作。さいかちの長くねじれた大きな実と、同じように湾曲している牛の立派な角が重なり合う瞬間をユーモラスに捉えています。秋の日の長閑で温かみのある、農村のひとコマを描き出した名句です。
皀莢の実に風渡る野川かな
高浜虚子【現代語訳】 皀莢(さいかち)の実がたわわにぶら下がる木に秋の風が吹き渡り、その下には澄んだ野川がさらさらと流れている。 【鑑賞】 涼やかな秋風が吹き抜け、さいかちの実が乾いた音を立てて揺れている。その足元には清らかな水が流れるという、極めて写実的でありながら清涼感に満ちた作品です。自然の動きと音が心地よく調和しています。

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